顧客管理システム(CRM)の導入費用は?失敗しない選び方も解説
顧客管理システム(CRM)の導入にあたって、どのくらいの予算が必要なのか知りたい方もいるでしょう。
顧客管理システムは、種類や機能によって費用が異なるため、自社に最適なシステムを選ぶことが、コスト削減の鍵となります。
この記事では、顧客管理システムの種類やそれぞれの導入費用相場、費用を抑える方法、失敗しないシステム選びのポイントを解説します。
自社に最適な顧客管理システムの導入に役立ててください。
顧客管理システムの種類
顧客管理システムは、クラウド型・オンプレミス型・オリジナル型の3つに分けられます。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
種類 | 特徴 |
---|---|
クラウド型 | ・インターネット経由で利用し、クラウドサーバ上にデータを保管 ・初期費用が安い ・導入しやすい |
オンプレミス型 | ・自社のサーバーにソフトをインストールして利用 ・カスタマイズ性が高い ・セキュリティレベルが高い |
オリジナル型 | ・自社の業務に最適化して開発 ・機能を自由に設計できる |
それぞれの特徴を踏まえ、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。
たとえば、もっとも高いセキュリティ対策を施したい場合はオンプレミス型、コストを抑えて簡単に導入したい場合にはクラウド型がおすすめです。
CRMについては、以下の記事も参考にしてください。
CRM(顧客管理システム)とは?基本機能や導入メリットをわかりやすく解説
顧客管理システム導入費用の相場
顧客管理システムの導入費用は、種類によっても異なります。
それぞれの導入費用相場を紹介しますので、特徴とともに、自社の予算に照らし合わせてみてください。
クラウド型CRM
クラウド型CRMは、インターネット経由でCRMサービスを利用する形態です。
おもにかかる費用の相場は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用相場 |
---|---|
初期費用 | 無料~5万円程度 |
月額費用 | 1ユーザーあたり500~1,000円程度 |
その他 | オプション料金により変動 |
クラウド型CRMは、初期費用がもっとも安価であるため、導入しやすい顧客管理システムです。
また、サーバーなどの管理が不要なため、運用コストを抑えることも可能です。
ただし、インターネット環境が必須であり、オフライン環境では利用できません。
オンプレミス型CRM
オンプレミス型CRMは、自社でサーバーなどのインフラを準備してCRMを構築・運用する形態です。
おもにかかる費用の相場は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用相場 |
---|---|
初期費用 | 50万~200万円程度 |
ランニングコスト | 1ライセンスあたり5万~10万円程度 |
その他 | サーバー管理費、メンテナンス費 |
オンプレミス型CRMは、初期費用は高額になりやすいものの、長期的に見るとランニングコストを抑えられる可能性があります。
ただし、サーバーの用意やネットワーク管理、専門知識をもつ人材の配置など、自社のITリソースを投入しなければなりません。
オリジナルのCRM
オリジナルのCRMは、自社の業務や顧客に合わせたシステムを構築できる形態です。
おもにかかる費用の相場は、以下のとおりです。
費用項目 | 費用相場 |
---|---|
初期費用 | 200万~500万円程度 |
その他 | 保守費用など |
オリジナルのCRMはすべて自社に合わせて調整できるため、使用感やセキュリティ対策など、最適な状態を構築できます。
その分、開発費用やサーバー費用など、高額な費用がかかりやすいでしょう。
また、開発期間も長期にわたる場合があり、導入までの時間とコストを十分に検討する必要があります。
顧客管理システムの導入費用を抑える方法
顧客管理システムの導入費用を抑えるには、相見積もりをとったり、無料トライアルを活用したりする方法があります。
また、助成金制度が活用できる可能性もあります。
導入費用を抑える方法を紹介しますので、ぜひ活用してください。
相見積もりをとる
顧客管理システムの導入時には、複数のベンダーから見積もりをとり、比較・検討することが重要です。
顧客管理システムの導入費用は、ベンダーや機能、サポート体制によって大きく異なります。
相見積もりをとることで、費用感をつかむだけでなく、各ベンダーのサービス内容やサポート体制の違いを明確化できるでしょう。
無料トライアルを活用する
高い導入費用を支払ったあとに「思っていた機能と違った」「使いこなせない」といった事態になってしまうと、損をしてしまいます。
こういった状況を防ぐためにも、無料トライアルは積極的に活用するのがおすすめです。
多くの顧客管理システムには、実際に製品を試用できる無料トライアル期間が設けられています。
期間はサービスによって異なりますが、一般的には14日間や30日間程度の無料体験が可能です。
無料トライアルを通して、使用感や機能を実際に体験できると、自社に合ったシステムかどうかを見極められるでしょう。
助成金制度を検討する
顧客管理システムの導入を検討しているのであれば、助成金制度が活用できないか確認してみるのがおすすめです。
国が実施している「IT導入補助金」制度では、中小企業・小規模事業者などがITツールを導入する際、その費用の一部の補助を受けられます。
たとえば、自社の課題にあったITツールを導入し、業務効率化・売上アップをサポートするといった内容の「通常枠」の申請では、事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援しています。
申請が通ると、以下の補助を受けることが可能です。
補助率 | 2分の1以内 |
補助額 | ・1プロセス以上:5万円以上150万円未満 ・4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
顧客管理システムの導入は、業務効率化や売上アップといった経営課題の解決につながる可能性が高いため、IT導入補助金の対象となる可能性があります。
活用により、導入費用を大幅に抑えられるでしょう。
要件や申請手続きなどは年度によって異なる場合があるため、事前に最新の情報を確認することが大切です。
失敗しない顧客管理システム選びのポイント
顧客管理システム選びに失敗しないためには、以下のポイントで選定しましょう。
- 業種・規模に合ったシステムを選ぶ
- 使いやすさを重視する
- 導入後のサポート体制を確認する
それぞれ解説しますので、顧客管理システム選びに役立ててください。
業種・規模に合ったシステムを選ぶ
業種や規模によって、顧客管理で重視すべき機能は異なります。
たとえば、業種ごとに以下の機能を有する顧客管理システムが必要になるでしょう。
業種 | 必要な機能 |
---|---|
美容業 | ・顧客カルテ管理 ・予約管理 ・メール配信 |
医療業 | ・電子カルテ連携 ・予約管理 ・会計システム連携 |
飲食業 | ・顧客台帳 ・予約管理 ・ポイント管理 |
顧客一人ひとりにきめ細かい対応が必要な美容業では、顧客の過去の施術内容や来店履歴を管理できる機能、顧客の入れ替わりが多い飲食業では、顧客台帳を管理する機能やポイント管理機能が必要です。
ただし、上記はあくまで一例であり、規模によっても変わってきます。
自社の課題や解決したいことを明確にしたうえで、最適な機能が備わっている顧客管理システムを選びましょう。
使いやすさを重視する
顧客管理システムは、現場の社員が日々使うツールです。
使いづらいシステムを導入してしまうと、定着せず、結局うまく運用できないといった状況に陥る可能性があります。
導入前には、無料トライアルなどで以下の項目を確認しておきましょう。
項目 | 具体的なチェックポイント |
---|---|
操作性 | ・直感的に操作できるか ・入力項目はわかりやすいか ・検索機能は充実しているか |
アクセス | パソコンやスマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスに対応しているか |
上記のような点を事前に確認し、実際にシステムに触れてみると、自社の業務フローに合うか、社員にとって使いやすいシステムか見極められます。
導入後のサポート体制を確認する
顧客管理システム導入後もスムーズに運用していくためには、ベンダーのサポート体制が重要です。
サポートが手厚ければ、トラブル時や困ったときにもすぐに対処できます。
具体的には、以下の項目を確認しましょう。
- 問い合わせ方法
- 対応時間
- 対応できる内容
- 追加料金の有無
安心して顧客管理システムを利用できるよう、サポート体制が充実しているベンダーを選ぶことが大切です。
なお、顧客管理の方法については、以下の記事でも解説しています。
あわせてご覧ください。
顧客管理の方法とは?基礎知識からおすすめシステム・ツールまで解説
顧客管理システムは導入費用と費用対効果を検討しよう
顧客管理システムには、クラウド型・オンプレミス型・オリジナル型の3種類があり、それぞれ特徴や導入費用の相場が異なります。
最も導入費用を抑えられるのは、インターネット経由でサービスを利用するクラウド型CRMで、初期費用で無料~5万円程度です。
自社でサーバーなどのインフラを準備してCRMを構築・運用するオンプレミス型は、50万~200万円程度の初期費用がかかります。
すべて自社に合わせて構築していくオリジナルのCRMは、初期費用だけで200万~500万円程度かかるでしょう。
顧客管理システムは、種類によって特徴やメリット・デメリットが異なります。
そのため、導入する際は、費用対効果をしっかりと検討することが重要です。
導入費用を抑えるために、相見積もりをとったり、無料トライアルを活用したりするのもおすすめです。
状況によっては助成金制度が活用できる場合もあるため、自社が適用要件に該当していないか確認してみてください。
以下の記事では、顧客管理システムを導入する方法を詳しく解説しています。
あわせて、参考にしてください。
顧客管理システム(導入するには)|導入手順や選び方のポイントを紹介