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飲食店を開くには何が必要?開業に必要な資格や資金について解説

2024年12月15日
飲食店を開くには何が必要?開業に必要な資格や資金について解説

飲食店を開くには、さまざまな準備が必要です。
特に、必須資格の取得や開業資金の確保、各種届出の手続きは避けては通れません

開業を成功させるためには、これらの要件を計画的に進めていくことが大切です。

この記事では、飲食店の開業に必要な資格や資金、届出を詳しく解説します。
近年における開業費用の傾向についても紹介しますので、開業準備の目安として参考にしてください。

飲食店を開くのに必須の資格

飲食店を開くのに必須の資格

飲食店を開くのに必須の資格は、食品衛生責任者と防火管理者の2つです。

それぞれの役割や取得の流れについて解説します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、飲食店を開業するうえで必ず置かなければならない担当者の資格です。

厚生労働省の「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」に基づき、衛生的な管理運営をするために、各店舗に1名以上の配置が義務付けられています。

食品衛生責任者の役割と、取得の流れを解説します。

役割

食品衛生責任者は、飲食店における食中毒発生の防止などを目的とした、衛生管理の責任者です。

厚生労働省のガイドラインでは、以下のように記載されています。

食品衛生責任者は、営業者の指示に従い、衛生管理にあたること
食品衛生責任者は、食品衛生上の危害の発生防止のため、施設の衛生管理の方法や食品衛生に関する事項について必要な注意を行うとともに営業者に対し意見を述べるよう努めること

引用:厚生労働省|食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)

具体的には、従業員への衛生教育や食品・施設の衛生管理などをおこなう役割をもちます

顧客に安全な食事を提供するためには、役割を十分に果たせる人材を食品衛生責任者に置くことが重要です。

取得の流れ

食品衛生責任者の資格は、都道府県などの食品衛生協会が実施する講習会を受講し、修了すると取得できます。

地域によっても異なりますが、取得方法には対面形式の集合型講習会か、PCやタブレット、スマートフォンを使用してオンラインで講義動画の視聴とテストを受けるeラーニングの2種類があります。

いずれも、講習時間は約6時間で、受講料も10,000円程度と大きく変わりはありません。
1日で取得したいか、隙間時間を活用して取得したいかで選ぶとよいでしょう。

資格の取得後も、食品衛生責任者は都道府県知事や指定都市長、中核市長が実施する講習会などを定期的に受講し、常に食品衛生に関する新しい知見の習得に努めることとされています。

なお、食品衛生責任者は、以下の資格保有者であれば、研修会の受講不要で資格を取得できます。

  • 栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士
  • 畜場法に規定する衛生管理責任者、作業衛生責任者の資格保持者
  • 食品衛生管理者、または食品衛生監視員となれる資格を有する者

資格を取得後は、飲食店を開く前に、保健所に「食品衛生責任者の設置届」を提出しなければなりません。

防火管理者

飲食店を開くには、防火管理者の資格も必要です。
飲食店は火を扱うため、防火管理者は火災から顧客や従業員、店舗を守るために重要な役割をもちます。

ただし、すべての飲食店で防火管理者が必要というわけではなく、客席数が30人以上の場合に選任義務の対象となります。

役割

防火管理者は、火災の発生を予防し、万が一火災が発生した場合には、被害を最小限に抑えるといった重要な役割を担っています。

日常的に担う役割は、以下のとおりです。

  • 消防用設備などの点検と整備
  • 火災予防上の自主検査と火気の使用、取扱いに関する監督
  • 定期的な消火、通報および避難訓練の実施

また、防火管理者になった人は、消防計画を作成し、消防署に届け出る義務があります。

取得の流れ

防火管理者の資格は、防火管理講習修了者か、防火管理者として必要な学識経験を有すると認められる者に与えられます

講習会は、最寄りの消防署で1~2日間受講すると、修了証が交付されます。

必要な学識経験を有すると認められるのは、以下の資格保有者、かつ一定の条件を満たす人です。

  • 安全管理者
  • 防火対象物点検資格者
  • 危険物保安監督者
  • 1級建築士など

資格取得後は、飲食店を開く前に「防火管理者選任届」を管轄の消防署へ届け出る必要があります。

飲食店を開くのにあると良い資格

飲食店を開くのにあると良い資格

飲食店を開くのに、あると良い資格もいくつか存在します。
おもな資格は、以下のとおりです。

  • 調理師免許
  • 製菓衛生師
  • 食品衛生管理者
  • フードアナリスト
  • フードコーディネーターなど

調理師免許は飲食店の開業に必須の資格ではありませんが、取得しておくと食品衛生責任者の資格を自動的に取得できます。
衛生面での知識が身につき、メニュー開発にも活かせるでしょう。

食品衛生管理者は、食品衛生責任者とは異なる資格ですが、兼任することも可能です。

食品衛生管理者は、調製粉乳や魚肉ハム、魚肉ソーセージなど、製造や加工の過程で衛生上の考慮が必要な食品を製造する場合に選任しなければならないとされる担当者です。

高校卒業相当以上で、食品衛生管理者を置かなければならない施設で3年以上の衛生管理業務従事経験がある場合には、講習会の修了により食品衛生管理者となれます。

こういった資格をプラスで取得しておくと、安心でおいしい食事を提供できる飲食店としてのブランディングなどにも活用できます。

飲食店を開くには開業資金も必要

飲食店を開くには開業資金も必要

飲食店を開くには、最低限の開業資金が必要になります。

とはいえ、日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度新規開業実態調査」によると、近年における開業資金は小額化していることがわかっています。

開業資金割合
250万円未満20.1%
250万~500万円未満21.0%
500万~1,000万円未満30.7%
1,000万~2,000万円未満18.8%
2,000万円以上9.4%
参照:日本政策金融公庫総合研究所|2024年度新規開業実態調査

上記は飲食店以外も含まれますが、開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円であり、長期的にみると少額化の傾向にあるようです。

2024年度においては、500万円未満が4割以上を占めています。

開業資金の内訳

開業資金の内訳は、設備資金と諸費用に大別されます。

内訳詳細
設備資金・店舗物件取得費
・内外装工事費
・厨房設備費用
・客席の家具備品費
・食器や調理器具費用など
諸費用・営業許可申請費
・各種保険料
・開業前の仕入れ費用
・広告宣伝費など

まずは、費用項目を明確化したうえで予算の配分を考えることが大切です。

設備費用を抑えるために、リースの活用を検討する方法もあります。
リースであれば、好みのメーカーを選択できたり、新品の設備道具や最新仕様モデルが利用できたりもするでしょう。

開業資金を得る方法

開業資金を確保する方法の代表例は、以下のとおりです。

  • 自己資金
  • 金融機関からの融資
  • クラウドファンディング
  • 事業パートナーからの出資
  • 補助金・助成金制度など

開業資金を借りる際には、事業計画書の作成が必須です。
収支計画や返済計画を具体的に示し、経営者としての経験やスキルについても明確に記載しましょう。

飲食店を開くには各種届出も必要

飲食店を開くには各種届出も必要

飲食店を開くには、忘れずに各種届出も済ませておく必要があります。

おもな届出は、以下のとおりです。

届出先届出内容
保健所・飲食店営業許可
・食品衛生責任者の設置届
税務署・個人事業主:個人事業の開業届出
・法人:新設法人の届出
・所得税の青色申告承認申請書
消防署・防火対象物使用開始届出書
・火を使用する設備等の設置届出書
・防火管理者選任届出書、消防計画作成届出書
警察署・深夜における酒類提供飲食店営業届出
・風俗営業等の営業申請(届出)手続
労働基準監督署労災保険
・保険関係成立届
・概算保険料申告書
雇用保険
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届
社会保険事務所社会保険
・新規適用届か、任意適用申請書
・被保険者資格取得届

不備があると、スムーズな開業に支障をきたします。
早めに着手し、必要な準備を進めていくことが重要です。

各種届出については、以下の記事で詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。

飲食店の新規オープンで必要な届出は?手続き方法や補助金を解説

飲食店を開くには何が必要かを把握して準備を進めよう

飲食店を開くには何が必要かを把握して準備を進めよう

飲食店を開くには、事前の綿密な準備が不可欠です。
資格や開業資金、届出など、何が必要かを把握したうえで、着実に準備を進めていきましょう。

特に、食品衛生責任者や防火管理者は必須の資格になるため、誰が取得するかを決めておく必要があります。

飲食店の開業に向けたやることリストをまとめた記事もありますので、あわせて活用してください。

飲食店開業に必要な準備は?流れとやることリストを解説

コラム - 飲食店を開くには何が必要?開業に必要な資格や資金について解説
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