店舗に固定電話は必要?設置のメリットや回線の種類を解説

店舗運営において電話は顧客との重要な接点となりますが、「固定電話は本当に必要なのか」「スマートフォンだけでは不十分か」と悩む経営者も多いでしょう。
店舗への固定電話の設置には、信頼性や顧客対応の質向上など、売上に直結するメリットが数多く存在します。
とはいえ、コスト面の問題や移転時の手続きの複雑さ、開通までの待機時間といった懸念点も存在するため、あらかじめ対策を把握しておくことも重要です。
この記事では、店舗における電話設置の必要性について、具体的なメリット・デメリットを詳しく解説します。
電話回線の種類や特徴も紹介しますので、最適な電話環境を整えるためにぜひ参考にしてください。
店舗に固定電話は設置したほうがよい

多くの店舗にとって、固定電話の設置は推奨されます。
その理由は、顧客からの信頼性向上や安定した通信環境の確保、予約や問い合わせ対応の質向上などが期待できるためです。
また、メールでの問い合わせやWeb予約が普及した現在でも、すぐに連絡したいなど、電話での直接的なコミュニケーションを必要とする顧客は一定数存在します。
固定電話の設置は、店舗の信頼性と顧客満足度の向上に直結する重要な投資といえるでしょう。
店舗に固定電話を設置するメリット

店舗運営において固定電話の設置には、以下のようなメリットがあります。
- 信頼性と安定性の向上
- 顧客対応の質の向上
- 業務効率化への貢献
それぞれ詳しく解説します。
信頼性と安定性の向上
店舗に固定電話を設置すると、顧客や取引先企業からの信頼を大きく向上させられます。
固定電話番号は、スマートフォン番号と比較して、事業の安定性や継続性を示す重要な指標として認識されています。
多くの顧客は、以下の理由から固定電話をもつ店舗に安心感を抱くでしょう。
- 所在地の明確性:固定電話番号から店舗の所在地が特定できるため
- 事業継続性:長期間同じ番号を使用している実績があるため
- 連絡の確実性:営業時間中は確実に連絡が取れるため
また、銀行融資や取引先企業との契約時においても、固定電話の有無は審査や信用度に影響を与える場合があります。
特に、法人設立時の各種手続きでは、固定電話番号の記載が求められることが多く、事業の信頼性を証明する重要な要素です。
固定電話の設置は単なる連絡手段を超えて、店舗の社会的信用を築く基盤としての役割を果たします。
顧客対応の質の向上
店舗に固定電話を設置すると、顧客対応の質を大幅に向上させられます。
固定電話を活用した質の高い顧客対応は、新規顧客やリピーターの獲得に直結するでしょう。
たとえ電話の内容がクレーム対応であっても、適切におこなえると、一時的に不満をもった顧客がファンに変わるケースもあります。
また、電話での直接的な対話により、普段は見えにくい顧客の声を収集できます。
これらの貴重な意見は、商品やサービスの改善に活用でき、結果として売上や利益の向上につながる重要な要素です。
業務効率化への貢献
固定電話を基盤とした効率的な電話対応システムを構築できると、店舗全体の業務フローが改善され、本来の業務に多くの時間を割けるようになります。
内線機能や転送機能などが充実した固定電話を設置すると、以下の効果が期待できるでしょう。
- 担当者への適切な取り次ぎにより、顧客対応の質を保ちながら時間短縮を実現できる
- 電話での問い合わせ内容を記録・共有して、スタッフ間の情報伝達ミスを削減できる
- 固定電話により確実に顧客からの連絡を受け取れるため、営業機会の損失を防止できる
業務効率化の効果により、店舗における収益性の向上と持続的な成長を実現できるため、固定電話の設置は長期的な投資価値の高い選択といえます。
従来の固定電話が抱える課題

従来の固定電話システムには、以下のような課題があります。
- 初期費用と月額料金の負担
- 移転時の手続きの複雑さ
- 開通までの待機期間
それぞれの内容や対策を解説します。
初期費用と継続費用の負担
固定電話の導入でもっとも負担となるのが、初期費用と継続費用の発生です。
それぞれ、以下のような項目があります。
| 初期費用 | 継続費用 |
|---|---|
| ・電話加入権(アナログ回線の場合) ・回線工事費 ・電話番号の発行手数料 ・電話機やPBX(構内交換機)の購入費など | ・月額基本料金 ・固定電話通話料など |
特に複数回線を契約する店舗では、これらのコストが積み重なって大きな負担となるため、導入前の費用計画が重要になります。
移転時の手続きの複雑さ
固定電話の移転には、複雑な手続きが必要です。
手続きの一覧は、以下のとおりです。
- 契約中の電話会社への移転申請
- 移転先での新規回線申込み(電話番号が変わる場合)
- 現在契約している回線の解約手続き
- 工事業者の選定と調整
- 主装置を設置する場所の決定
- 移転先オフィスの下見
これらの手続きは相互に関連しており、一つでも手順を間違えると電話が使えない期間が発生するリスクがあります。
特に、電話番号が変わる場合の移転では、解約と新規契約の両方をおこなう必要があり、手続きがさらに複雑になります。
また、オフィス移転、電話回線工事、電話機工事の3つのスケジュール調整も必要で、土日祝日や年末年度末の工事枠確保も困難です。
このような複雑さが、店舗運営者にとって大きな負担となっています。
固定電話の移転手続きをスムーズに進めるためには、早めの計画立案と専門業者への相談、電話番号の継続利用の可否確認、顧客・取引先企業への事前通知などをおこなうことが大切です。
開通までの待機期間
固定電話の開通工事には、想像以上に時間がかかる場合が多く、開店スケジュールに影響を与える可能性があります。
| 回線の種類 | 開通までの期間 |
|---|---|
| アナログ回線 | 約1週間 |
| IP電話(既存ネット回線あり) | 約1週間 |
| IP電話(新規ネット回線必要) | 約1カ月 |
特に注意が必要なのは、IP電話でインターネット回線が未開通の場合です。
プロバイダ契約から工事まで含めると、開通までに1カ月程度の期間を見込んでおく必要があります。
また、繁忙期や地域によっては、さらに時間がかかるケースもあるため、開店予定日から逆算して余裕をもった申し込みをすることが重要です。
予約受付や注文対応など、営業に直結する電話が使えない状況を避けるため、早めの手続きを心がけましょう。
店舗で利用できる電話回線の種類

店舗運営において、電話回線の選択は重要な判断の一つです。
現在利用できる主要な電話回線の種類は、以下のとおりです。
| 回線種類 | 特徴 |
|---|---|
| アナログ回線 | 昔ながらの銅線やメタル線を使用。停電時も利用可能だが、距離が長いと音質が低下しやすい |
| デジタル回線 | デジタル信号でやり取りする回線。クリアな音質で2回線の同時利用も可能だが、導入コストがかかりやすい(例:IP電話、ひかり電話など) |
それぞれ詳しく解説します。
アナログ回線
アナログ回線は、銅線やメタル線と呼ばれる通信ケーブルを使用して、音声をアナログ信号のまま送受信する方式です。
従来から広く利用されている回線で、一般家庭でも馴染み深い方式といえます。
最大のメリットは、電源を必要としないため停電時でも通話が可能な点です。
災害時やトラブル発生時にも安定した通信手段として機能します。
ただし、通信ケーブルが長距離になるほど、音質が劣化しやすいという課題があります。
また、1回線のみの利用となるため、通話中はほかの電話機能を使用できません。
店舗運営においては、緊急時の信頼性を重視する場合にアナログ回線が選択されるでしょう。
デジタル回線
デジタル回線は、音声をデジタル信号に変換して送受信する電話回線です。
IP(Internet Protocol/インターネットプロトコル)と呼ばれる通信方式の電話サービス「IP電話」や、NTTが提供する0ABJ番号IP電話「ひかり電話」が該当します。
デジタル回線は、おもに以下の特徴をもちます。
- ノイズが軽減され、クリアな音質を実現できる
- ケーブルが長くても音質が劣化しにくい
- 1つの電話番号で2回線の同時利用が可能になる
特に店舗運営では、顧客からの電話対応中でもFAXの受信ができるなど、業務効率の向上に貢献します。
デジタル信号処理により、通話品質が安定しているため、重要な商談や予約受付でも安心して利用できるでしょう。
アナログ回線とデジタル回線、どちらがよいのか迷う場合には、デジタル回線がおすすめです。
特に、光回線は早く安定したデータ通信がおこなえるため、電話やインターネットを同時に利用しても遅延やノイズが起こりづらくなります。
最大300チャンネル利用でき、大規模な事業所でもストレスなく利用することが可能です。
IP電話とひかり電話の違い、回線種別については、以下の記事も参考にしてください。
IP電話とひかり電話の違いとは?仕組みやメリット・デメリット、おすすめの企業を解説
ビジネスフォン向け電話回線種別の選び方|メリット・デメリット
店舗に固定電話を設置して信頼性と安定性を上げよう

メールでの問い合わせやWeb予約が普及した現代でも、店舗には固定電話を設置したほうがよいといえます。
その理由は、顧客からの信頼性向上や安定した通信環境の確保、予約や問い合わせ対応の質の向上などが期待できるためです。
とはいえ、電話機の種類は多岐にわたります。
店舗の規模や導入目的などによっても最適な電話機は異なるため、プロの意見を参考にするとスムーズな導入を図れるでしょう。
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一般的な固定電話は電話機1台につき1回線の契約が必要ですが、ビジネスフォンは1回線を複数台の電話機で共有できるため、通信費を大幅に削減することが可能です。
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また、ビジネスフォンについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
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