業務用コピー機とは?家庭用との違いと企業に最適な機種の選び方

業務用コピー機は、高速印刷・大容量処理・セキュリティ機能など、ビジネスシーンに特化した機能を備えた印刷機器です。
導入により業務効率化や生産性の向上につながるものの、一方で機種選びを間違えると、高額な導入コストに見合わない結果となってしまいます。
この記事では、業務用コピー機の基本機能から家庭用との明確な違い、企業に最適な機種を選ぶためのポイントまで、導入前に知っておくべき情報を網羅的に解説します。
企業に最適な業務用コピー機を見つけるための参考にしてください。
業務用コピー機とは

業務用コピー機とは、企業や団体などの組織で使用することを前提に設計された、高い耐久性と豊富な機能をもつ複合機のことです。
オフィスワークの効率化と生産性向上を支える重要な設備として位置づけられています。
まずは、業務用コピー機のおもな機能と印刷技術の種類について確認しておきましょう。
業務用コピー機のおもな機能
業務用コピー機は、単純なコピー機能だけでなく、ビジネスの効率化を支える多彩な機能を搭載しています。
機能の例は、以下のとおりです。
| 機能例 | 具体例 |
|---|---|
| 基本機能 | ・コピー機能(モノクロ、カラー、2色刷り) ・プリンター機能(ほかのデバイスからの印刷) ・スキャン機能(文書のデジタル化) ・FAX機能(通信機能) |
| 便利な印刷機能 | ・N-Up印刷:1枚の紙に複数ページを印刷 ・ポスター印刷:複数枚に分割した大判サイズの印刷 ・リピートレイアウト:同一内容を余白なく効率的に配置 |
| セキュリティ・管理機能 | ・リテンション機能:印刷データを一時保存し、操作パネルから出力 ・カスタムイメージ機能:会社ロゴや機密マークの自動挿入 ・ドロップアウトカラー:特定の色を除去してスキャン |
これらの機能により、業務効率の向上とコスト削減を同時に実現できます。
搭載機能は機種によって異なるため、導入時には自社に必要な内容で選定することが重要です。
印刷技術の種類
業務用コピー機に搭載される印刷技術は、おもに以下の方式に分類されます。
| 印刷方式 | 特徴 | 適用場面 |
|---|---|---|
| レーザー方式 | 粉状のトナーを使用し、感光体ドラムにレーザーを照射して印刷 | 文字印刷に最適、短時間での仕上がり |
| インクジェット方式 | 液体インクをノズルから紙に直接吹き付けて印刷 | カラー印刷の再現性が高い |
レーザー方式は、熱でトナーを圧着させるため乾燥時間が不要です。
文字の鮮明性に優れていますが、高温処理のため、熱に弱い用紙には使用できない特徴があります。
一方、インクジェット方式は色の再現性が高く、写真やカラー資料の印刷に適しています。
大判サイズの印刷にも対応可能ですが、印刷速度はレーザー方式より劣る場合があるでしょう。
用途に応じて機器を選定すると、最適な印刷品質を実現できます。
業務用コピー機と家庭用プリンターの違い

業務用コピー機と家庭用プリンターには、以下のような重要な違いがあります。
| 違い | 業務用コピー機 | 家庭用プリンター |
|---|---|---|
| 印刷コスト | 約20円/枚 | 約60~80円/枚 |
| 耐久性 | 定期メンテナンスにより長期間使用可能 | 数年ごとの買い替えが必要 |
| 印刷方式 | 写真印刷に適しているインクジェット方式のほか、カタログ・資料・図面印刷に優れているレーザー方式もある | インクジェット方式が主流 |
| 対応用紙サイズ | A3サイズ・長尺印刷にも対応 | A4サイズまで |
| 給紙枚数 | 約500~1,000枚 | 約100枚まで |
さらに、業務用にはクラウド接続機能やセキュリティ機能、製本機能など、ビジネスに特化した機能が豊富に搭載されています。
特に、クラウド接続機能やセキュリティ機能は、多様な働き方が広がる現代に対応するために必要な機能といえるでしょう。
うまく活用できると、事業の生産性向上をかなえやすくなります。
業務用コピー機の選び方

業務用コピー機を選ぶときは、以下の要素を総合的に検討する必要があります。
- 使用頻度・印刷枚数
- 必要な機能・性能
- 設置環境・スペース
- セキュリティ機能
- ランニングコスト
- 拡張性・将来性
自社に最適な機器を選べるよう、選定ポイントを詳しく把握しておきましょう。
使用頻度・印刷枚数
業務用コピー機を選ぶとき、もっとも重要な判断基準が月間印刷枚数です。
自社の印刷ニーズに合わない機種を選ぶと、業務効率の低下やコスト増加を招く可能性があります。
月間印刷枚数に応じた適切な印刷速度の目安は、以下のとおりです。
| 月間印刷枚数 | 推奨される印刷速度 |
|---|---|
| 3,000枚以下 | 20~25枚/分 |
| 5,000枚以下 | 25~35枚/分 |
| 10,000枚以下 | 35~45枚/分 |
業界・職種によっても、印刷枚数の目安は大きく異なります。
たとえば、小売業・運送業など一般的な職種であれば、月間印刷枚数500枚程度に収まる場合が多いでしょう。
一方で、設計や建設、出版など、印刷の頻度が高い業界の場合、印刷枚数が多くなる傾向があります。
導入前に正確な印刷枚数を把握するために、レンタルで検証するのも一つの方法です。
これにより、実際の使用状況を踏まえた最適な機種選択が可能になります。
必要な機能・性能
業務用コピー機を選ぶときは、印刷画質を確認しましょう。
一般的なビジネス文書であれば、約400dpiの解像度が必要です。
写真データなら、約1,200~2,400dpiが目安となります。
印刷速度は作業効率に直結する重要な要素です。
ipmやppmという数値で印刷速度が確認できるため、事前にチェックしておくことが大切です。
必要な機能については、業務内容に応じて選択します。
- モノクロ・カラー印刷機能
- スキャナー機能
- FAX機能
- ADF(自動原稿送り装置)など
操作性も見逃せないポイントです。
社内の誰もがスムーズに使用できるよう、必要な機能をシンプルに操作できる機種を選ぶと、業務効率の向上につながります。
また、社内で使用しているPCのOSに対応しているかどうかも確認が必要です。
Windows 11やMacなど、使用環境に適した機種を選択してください。
ADFについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
設置環境・スペース
業務用コピー機を導入するときは、機器の性能を最大限に発揮し、長期間安定して使用するために適切な設置環境を確保します。
一般的な業務用機種の本体サイズは、「幅600mm × 奥行600mm × 高さ1,200mm」です。
前面スペースには操作・メンテナンス用に1m程度、左右スペースには給紙・排紙作業用に各50cm程度あける必要があります。
なかにはコンパクトサイズの業務用コピー機もあるため、事務所内のスペースを検討してから検討するとよいでしょう。
なお、設置場所は水平で安定した床面で、直射日光や暖房器具から離れた場所が理想的です。
また、ほこりが少なく換気の良い環境を確保すると、機器の故障リスクを大幅に軽減できます。
電源コンセントへのアクセスや配線の取り回しも事前に検討し、延長コードを使用せずに済む場所を選択することが大切です。
セキュリティ機能
業務用コピー機を検討するときには、情報漏えいや不正アクセスを防ぐセキュリティ機能の搭載が必要不可欠です。
特に、企業が扱う機密文書や個人情報を保護するため、複数の段階でセキュリティ対策が必要となります。
主要なセキュリティ機能は、以下のとおりです。
| 主要なセキュリティ機能 | 詳細 |
|---|---|
| 通信の暗号化 | ・SSL/TLS暗号化通信による盗聴、改ざん防止 ・IPsecによるネットワークレベルでの暗号化 |
| アクセス制御 | ・IPアドレスフィルタリングによる接続制限 ・不要な通信プロトコルの無効化設定 |
| ハードディスク保護 | ・文書データの暗号化保存 ・機器廃棄時のデータ完全消去機能 |
| ユーザー管理 | ・ICカード認証やパスワード設定 ・利用者ごとの機能制限設定 |
これらの機能により、社内外からの不正アクセスを防ぎながら、重要な文書を管理できるようになります。
ランニングコスト
業務用コピー機を導入するとき、初期費用と同じくらい重要なのがランニングコストです。
継続的に発生する費用を正しく把握しておくと、コスト削減につなげられます。
業務用コピー機のおもなランニングコストは、以下のとおりです。
| 導入方法 | おもなコスト項目 |
|---|---|
| リース契約 | リース料金+カウンター料金+電気代 |
| 新品購入 | カウンター料金+電気代 |
| 中古購入 | 消耗品費+電気代 |
カウンター料金には、保守メンテナンスやトナー交換が含まれるのが一般的です。
カウンター保守契約を結ぶと、故障時の修理費用や定期メンテナンス費用を抑制できます。
以下の記事では、業務用コピー機をリースするメリットや料金相場について解説しています。
あわせてご覧ください。
複合機・コピー機をリースするメリットとは?料金相場やレンタルとの違いを紹介!
拡張性・将来性
拡張性や将来性も、業務用コピー機を選ぶときに検討したいポイントです。
追加機能の後付けをする可能性を考え、容易に変更できるかどうかを確認しておきましょう。
長期的な視点で投資効果を最大化できる機種の選択が、企業の生産性向上につながります。
業務用コピー機の主要メーカーを一覧で比較

日本の業務用コピー機の市場には、世界トップクラスの技術をもつメーカーが数多く存在します。
以下に主要メーカーの特徴を比較して紹介します。
| メーカー | おもな特徴 |
|---|---|
| 富士フイルムビジネスイノベーション(FUJIFILM) | オフィス環境に最適化された機能性をもつ。セキュリティ対策や地震対策キットなど、安全面へも配慮している |
| 東芝(TOSHIBA) | スマートフォンライクな操作性と多様な用紙への対応が魅力 |
| キャノン(CANON) | お客さまの声をもとにアップデートした機能で、操作性・生産性・画質・管理性・信頼性・オフィス適応性を向上する |
| シャープ(SHARP) | 接続性とユーザビリティを重視した設計で、多様なワークスタイルに適した機能を提供する |
| リコー(RICOH) | 操作性・耐久性・環境配慮を兼ね備える |
| コニカミノルタ(KONIKA MINOLTA) | オフィス規模や業種を問わず対応できる豊富なラインナップ。高機能・高性能でありながら直感的な操作性をもつ |
| 京セラ(KYOCERA) | 高い耐久性と高コストパフォーマンスが特徴 |
| エプソン(EPSON) | インクジェット技術の活用で、トータルコストの削減、業務効率の向上、環境への配慮が可能 |
各メーカーの特徴を理解し、自社の業務内容や予算、必要な機能を総合的に検討して、最適なメーカー・機種を選択しましょう。
生産性向上のために最適な業務用コピー機を導入しよう

適切な業務用コピー機の導入は、企業の生産性向上に直結する重要な投資です。
従来の手作業による書類作成や印刷待ちの時間を大幅に短縮し、業務効率の改善が期待できます。
特に、月間1,000枚以上の印刷をおこなうような企業では、家庭用プリンターと比較して大幅なコスト削減効果を実現できます。
また、クラウド連携機能により、リモートワークにも対応可能です。
導入時は使用頻度、必要機能、設置環境を総合的に検討し、長期的な視点でROI(投資対効果)を評価することが重要です。
専門業者と相談し、自社に最適な機種を選定しましょう。
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また、以下の記事では、複合機やOA機器の種類について詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。
OA機器の種類一覧|製品の選び方やサポートまで受けられる方法を紹介

