小さいお店を開きたい!開業にかかる費用や流れ、注意点を解説
「小さいお店を開きたい」という夢の実現に向けて、なにから始めるべきなのか、開業資金はどのくらい必要なのか、どのような手続きが必要なのかなど、さまざまな疑問があるでしょう。
スムーズにお店を始めるためには、具体的な流れや注意点などを把握しておかなければなりません。
この記事では、小さいお店を開くための費用や流れ、注意点を解説します。
始めやすいお店の例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
自己資金ゼロでも小さいお店は開けるのか
自己資金ゼロの状態で、小さいお店を開くのは難しいでしょう。
事業を始めるにはさまざまなコストがかかるため、開業資金は必須といえます。
日本政策公庫総合研究所の「2023年新規開業実態調査」によると、開業資金として用意していた自己資金は平均280万円との結果が出ています。
自己資金が少ない場合には、開業資金をどのように調達するか、綿密な計画と準備が必要です。
小さいお店を開くときの流れ
小さいお店を開くためには、適切なステップを踏み、必要な準備をすることが大切です。
お店の種類や規模によって多少の違いはありますが、大まかな流れは以下のとおりです。
- コンセプトを設計する
- 物件を選ぶ
- 資金を調達する
- 必要な資格を取得する
- 必要な手続きをおこなう
段階ごとに解説します。
1.コンセプトを設計する
お店を開くのにあたって、まずおこなうべきことはコンセプトの設計です。
しっかりとしたコンセプトがないとお店の方向性が定まらず、顧客が魅力を感じにくくなります。
どのようなお店にしたいのか、どのような客層をターゲットにしたいのかなどを明確にすると、スタッフの採用基準や商品開発、内装デザインなど、さまざまな面で一貫性をもたせることができ、スムーズに準備を進められるでしょう。
コンセプトの設計に有効な手段として、5W1Hを活用する方法があります。
項目 | 内容 | 例:ネイルサロンの場合 |
---|---|---|
誰に(who) | ターゲット顧客 | おしゃれに敏感な女性、OL |
なにを(what) | 提供する商品・サービス | ジェルネイル、ハンドケア |
いつ(when) | 営業日時 | 平日夜、土日祝日 |
どこで(where) | 立地・店舗規模 | 駅近くの路面店、マンションの一室 |
どのように(how) | サービス提供方法 | 予約制、会員割引 |
小さいお店でも、コンセプトがしっかりしていれば成功の可能性は高まります。
2.物件を選ぶ
物件探しは小さいお店を開業する準備の中でも特に重要なステップです。
物件次第でお店の雰囲気やターゲット層、そして成功の可能性も大きく左右されます。
失敗しないためのポイントは、以下のとおりです。
- 資金調達より先に物件探しを始める
- 物件の内見には施工業者を同行させる
- 物件の種類ごとの特徴を踏まえる
物件探しを先に始める理由は、資金調達の際に事業計画書が必要なためです。
事業計画書には物件情報が不可欠であるため、物件の仮押さえを済ませておく必要があります。
また、希望する内装や設備が可能か、レイアウトは適切かなど、専門家の目で確認してもらうと、後々のトラブルを防げるでしょう。
物件の種類には、居抜き物件やスケルトン物件があり、それぞれのメリット・デメリットを理解し、コンセプトに合った物件を選ぶことが大切です。
物件の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
居抜き物件 | 初期費用を抑えられる | 以前の店舗のイメージが残っている、設備が老朽化している |
スケルトン物件 | 自由に設計できる | 改修費用が高くなる |
焦って決めてしまうと後悔につながるため、物件選びは時間をかけて慎重におこなわなければなりません。
3.資金を調達する
開業資金は自己資金でまかなうのが理想的ですが、資金が不足する場合は、融資の利用や補助金・助成金、クラウドファンディングの活用を検討しましょう。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
資金調達方法 | 特徴 |
---|---|
融資 | 借入のために金融機関に事業計画書を提出し、審査を受ける必要がある |
補助金・助成金 | 返済不要だが、それぞれに交付要件が定められている |
クラウドファンディング | インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法。目標金額の設定とプロジェクト内容の公開をして、共感を得た人々から資金提供を受ける |
小さいお店であっても、改修や備品購入、仕入れなどに費用がかかります。
余裕をもった資金計画を立てましょう。
4.必要な資格を取得する
業種によっては、資格取得が必要です。
たとえば、飲食店を開業するにあたっては、小さいお店であっても以下の資格が必要です。
資格 | 概要 |
---|---|
食品衛生責任者 | ・食品の安全に関する正しい知識をもち、食中毒などを防ぐ ・飲食店では、各施設に1名必要 |
防火管理者 | ・火災を予防し、発生した場合は適切な初期消火をおこなう ・収容人数がスタッフを含め30名以上の場合に必要 |
食品衛生責任者は、飲食店を開業する際に必須の資格です。
資格取得には、都道府県が実施する講習会に参加しなければなりませんが、調理師や栄養士の免許をもっている場合は受講不要とされています。
防火管理者の資格は、飲食店の規模や営業形態によって必要性が異なり、収容人数が30人以上の場合に設置が義務付けられています。
講習会は日本防火・防災協会が実施しており、1~2日ほどかかるでしょう。
5.必要な手続きをおこなう
小さいお店を開業する場合でも、必要な手続きを踏む必要があります。
たとえば、飲食店であれば以下のような手続きが必要です。
- 保健所に飲食店営業許可を得る
- 食品衛生責任者を設置する
- 開業届などを出す
- 社会保険などの申請をおこなう
飲食店営業許可を得るための細かい内容は保健所ごとに異なるため、所轄の保健所に問い合わせましょう。
税務署に提出する書類は、個人事業主となるか、法人となるかで異なります。
開業形態 | 提出書類 | 期限 |
---|---|---|
個人事業主 | ・開業届 ・青色申告承認申請書 ・給与支払事務所等の開設届出書など | 事業開始月から1カ月以内 |
法人 | ・法人設立届出書 ・青色申告承認申請書 ・棚卸資産の評価方法の届出書 ・減価償却資産の償却方法の届出書 ・給与支払事務所等の開設届出書など | 設立から2カ月以内 |
また、個人経営で常時5人以上のスタッフを雇用している事業所、または法人企業で常時1人以上のスタッフを雇用している事業所は、健康保険や厚生年金保険に加入しなければなりません。
最寄りの社会保険事務所に問い合わせが必要です。
小さいお店を開きたいときに注意すべきこと
小さいお店を開く際には、規模ゆえの注意点もいくつか存在します。
特に、コスト管理、人員不足によるリスク、集客戦略は、お店の成功を左右する重要な要素です。
それぞれ解説します。
仕入れにかかるコストの調整
小さいお店では、仕入れにかかるコストが割高になりがちであり、大手飲食チェーン店のように大量仕入れによるコスト削減効果は期待できないでしょう。
仕入れ量が少ないと単価が高くなるため、利益を確保するために商品価格を高く設定せざるを得ないケースもあります。
しかし、高すぎる価格設定は集客に悪影響となる可能性もあり、仕入れコスト以外の部分で調整をおこなう工夫が必要です。
たとえば、以下の工夫が考えられます。
- SNSや口コミを活用して広告費を削減する
- 内装やインテリアをDIYして初期費用を抑える
- セルフサービス形式や最新の調理機器の導入で人件費を削減する
工夫次第でコストを削減できると、利益を確保しやすくなります。
1人で営業するリスク
1人で小さいお店を営業する場合、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
- 対応できる客数の限界
- 複数業務をこなすことでの接客の質低下
- 病気やケガでの休業
小さいお店を開くときには、これらのリスクを想定し、対策を講じることが重要です。
たとえば、少人数のスタッフを雇う、オペレーションを効率化して回転率を上げる工夫をするなどの方法が考えられます。
集客について
開業時の準備も大切ですが、軌道に乗せるためには集客施策も重要です。
効果的な施策により、安定した集客を得られます。
小さいお店におすすめの方法は、以下のとおりです。
方法 | 具体的な施策例 |
---|---|
SNSの活用 | ・Instagramでお店の雰囲気やメニューの魅力を発信 ・お店のアカウントをフォローした人に割引クーポンを提供するキャンペーンを実施 |
LINE公式アカウントの活用 | ・友だち追加してくれた顧客に新メニューやキャンペーン情報を配信 ・顧客の誕生日月に割引クーポンを配信 ・ポイントカード機能を活用して、一定ポイント貯めた顧客に特別な特典を提供 |
地域密着型の取り組み | ・地域のイベントに出店 ・近隣住民向けの割引キャンペーンを実施 ・地域のフリーペーパーや情報誌に広告を掲載 |
コラボレーション | ・ほかの地域店舗と共同でキャンペーンを実施 ・近隣の企業と提携し、従業員向けの割引サービスを提供 ・インフルエンサーとコラボレーションし、お店の魅力を発信してもらう |
これらの方法を組み合わせて、多角的な集客施策をおこなうと効果的です。
顧客のニーズやお店の特性を考慮し、最適な方法を選択しましょう。
始めやすい小さいお店の例
ここでは、始めやすい小さいお店の種類をいくつか紹介します。
参考にしながら、自分のお店のコンセプトを考えてみましょう。
ターゲットを1人利用の顧客にする
1人利用の顧客をターゲットにすると、省スペースでお店を開けます。
たとえば、プライベートサロンのほか、カウンターでお酒やコーヒーを提供するお店などがあるでしょう。
顧客との距離感も近くなり、より密な関係構築を図れます。
特定メニューのみ販売する
飲食店では、特定メニューのみの提供にすると、回転率を上げながら不要なコストを削減できます。
調理の手間も少なくなり、無駄な食材も生じにくくなるでしょう。
たとえば、カレー専門店、ラーメン専門店、クレープ屋などがあげられます。
限られたメニューでも、素材にこだわったり、独自の製法を用いたりすることで、他店との差別化を図れ、固定客を獲得できます。
自宅で開業する
自宅でお店を開くと、店舗を借りるための初期費用を抑えられます。
営業時間も自分の都合に合わせて設定できるため、子育てや介護などとの両立もしやすいでしょう。
とはいえ、店舗のように人通りの多い場所に位置しているわけではないため、広告や宣伝などの集客に力を入れる必要があります。
また、自宅が仕事場となるため、プライベート空間の確保が難しく、オンオフの切り替えがしづらい可能性もあります。
自宅でお店を開くときには、メリット・デメリットを踏まえたうえで、計画と準備を進めましょう。
小さいお店を開きたいときは注意点も踏まえて計画を立てよう
お店を開く場合、小さいお店であっても綿密な計画と準備が必要です。
事業を成功させるためにも、必要な資金や流れ、注意点を把握したうえで、計画を立てていきましょう。
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新店舗をオープンするための準備については、以下の記事でも詳しく解説しています。