ビジネスフォンを導入するには?導入手順や費用目安を解説

ビジネスフォンの導入は、企業の通信環境を大幅に改善し、業務効率化や通信費削減を実現する重要な投資です。
ビジネスフォンは、主装置(PBX)を中心とした電話システムで、複数の電話機を効率的に管理し、内線通話や外線の振り分けを可能にします。
この主装置の性能や機能が、導入後の使い勝手や拡張性を大きく左右するため、適切な選定が重要です。
また、適切な導入手順を踏まなければ、余計なコストが発生したり、必要な機能が不足したりするリスクがあります。
この記事では、ビジネスフォン導入の具体的な手順から費用目安まで、導入を成功させるために必要な情報を詳しく解説します。
ぜひ、導入検討の参考にしてください。
ビジネスフォン導入前の準備と要件整理

ビジネスフォンの導入を成功させるためには、事前の準備と要件整理が不可欠です。
適切な準備により導入後の運用トラブルを防ぎ、効率的な通信環境を構築できます。
以下のポイントで進めましょう。
- 必要な同時通話数の算出
- 設置する電話機台数の決定
- 必要な機能の洗い出し
自社に最適なビジネスフォンシステムを導入するために、まずはこれらの準備を丁寧におこなうことが大切です。
必要な同時通話数の算出
ビジネスフォンの導入でもっとも重要なのは、自社に必要な同時通話数(チャンネル数)を正確に算出することです。
同時通話数とは、同時に通話できる回線の数のことで、これが適切でないと通話がつながらない、コストがムダにかかるなどのトラブルが発生します。
算出するときは、常に電話対応できる社員数と、同時にかかってくる電話数を考慮しましょう。
目安は、社員数の3分の1程度です。
たとえば、以下のように算出できます。
| 社員数 | 推奨チャンネル数 |
|---|---|
| 30人 | 10チャンネル |
| 60人 | 20チャンネル |
| 90人 | 30チャンネル |
適切な同時通話数を設定すると、顧客を待たせるリスクを減らし、業務効率化とコスト削減を両立できます。
設置する電話機台数の決定
設置する電話機台数は、オフィスの業務形態と電話の利用頻度によって決まります。
以下のポイントを考慮して台数を決定しましょう。
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 業務形態に応じた台数の決定 | ・電話営業を頻繁におこなうオフィスでは、各社員が待機せずに電話を使えるよう、デスクの数だけビジネスフォンを設置する ・電話を使用する社員が全体の5割程度であれば、ビジネスフォンの数も半分程度に抑えられる |
| 設置場所の検討 | ・デスク:社員の業務スタイルに応じて配置する ・会議室:会議中の電話対応のために配置する ・受付:来客対応や取り次ぎ業務のために配置する |
また、将来的な拡張への配慮も必要です。
現在の社員数だけでなく、将来的な増員や規模拡大も考慮しましょう。
あとから増設する場合、既設のビジネスフォンも含めてすべて入れ替えが必要になるケースもあるため、最初から余裕をもった台数を検討するのがおすすめです。
必要な機能の洗い出し
ビジネスフォン導入前には、現在の業務で必要な機能を明確にしましょう。
主要な機能と、業務効率化に役立つ機能の一覧は、以下のとおりです。
| 主要な機能 | 業務効率化に役立つ機能 |
|---|---|
| ・内線通話機能 ・外線保留、転送機能 ・短縮ダイヤル機能 ・発信者番号通知機能 ・留守番電話機能 ・会議通話機能 | ・自動応答機能 ・通話録音機能 ・CTI機能(ほかの通信システムとの連携機能) ・ナンバーディスプレイ機能 |
必要な機能を明確にすると、適切なビジネスフォンシステムの選定と費用の最適化が可能になります。
機能が多すぎると導入コストが高くなるため、実際の業務フローを分析し、本当に必要な機能のみを選定することが重要です。
ビジネスフォン導入の流れと手順

ビジネスフォンを導入するときは、段階的な手順を踏めると、スムーズな導入と安定した運用を実現できます。
以下の4つのステップで進めていきましょう。
- 見積もり依頼と比較検討
- 機種の選定
- 電話回線の選定
- 契約締結と発注
- 設置工事の実施
それぞれ詳しく解説します。
1.見積もり依頼と比較検討
ビジネスフォンの導入を成功させるためには、複数の業者から見積もりを取得し、慎重に比較検討することが重要です。
見積もり比較のポイントは、以下のとおりです。
- サービス内容の充実度
- 工事料金の内訳と妥当性
- アフターサポートの体制
- 契約条件の柔軟性
特に初めて導入する企業は、十分な検討時間を確保し、担当者との直接面談を通して業者を選定することが大切です。
対面により、疑問点の解決やサービス内容の正確な理解がしやすくなります。
単純に価格が安いという理由だけで選ぶのではなく、自社のニーズに最適なサービスを提供してくれる業者を選択しましょう。
2.機種の選定
機種選定では、事前に整理した要件をもとに、最適な製品を選びます。
以下の点を重視して比較検討しましょう。
- 対応回線数:必要な同時通話数に対応できるか
- 内線電話機の台数:設置予定台数に対応しているか
- 搭載機能:転送機能、通話録音、クラウド連携などの必要機能
- 拡張性:将来の増設にどこまで対応できるか
機種選定では、初期費用だけでなく維持費用も含めた総合的なコストパフォーマンスを評価することが重要です。
また、従業員が日常的に使用するため、ビジネスフォンの操作性の良さも重要な判断材料となります。
ビジネスフォンの選び方については、以下の記事も参考にしてください。
ビジネスフォンの選び方は?選択基準や考えるときのポイントを解説
3.電話回線の選定
ビジネスフォンの導入では、従来のアナログ回線、またはデジタル回線のいずれかを選択する必要があります。
回線の種類と特徴は、以下のとおりです。
| 回線 | 特徴 | 種類 |
|---|---|---|
| アナログ回線 | 導線で電話機をつないで声を伝えるため、停電などの有事のときに強い | ・ダイヤル回線:トーン信号を用いて信号を送出する ・プッシュ回線:パルス信号を用いて信号を送出する |
| デジタル回線 | 音声をデジタル化してデータを送出するため、アナログ回線より盗聴の心配がない | IP電話:インターネット回線を利用する(例:ひかり電話) |
どこの回線にするか迷っている場合、デジタル回線の一種、光回線がおすすめです。
光回線は早く安定したデータ通信がおこなえるため、電話やインターネットの同時利用時にも、遅延やノイズが起こりづらく安心して利用できます。
利用できるチャンネル数も多いため、大規模な事業所にも対応できます。
詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
ビジネスフォン向け電話回線種別の選び方|メリット・デメリット
4.契約締結と発注
機種と回線の選定が完了したら、業者と正式な契約を結びます。
契約方法には、業者によって購入契約とリース契約があります。
購入契約は一括購入または分割購入となる方法で、リース契約はリース会社を介して長期レンタルする方法です。
リース契約の場合、リース会社が機器を購入し、販売店や工事業者への発注も同時におこなわれます。
契約の締結後は、リース会社から各業者へ回線開通工事や主装置設置、電話機の配線・設定作業などが正式に発注されるでしょう。
この段階で工事日程の調整もおこなわれるため、企業は契約内容をしっかり確認してから締結することが重要です。
5.設置工事の実施
契約締結後、実際の設置工事を実施します。
工事は複数の作業が段階的に進められます。
おもな作業内容は、以下のとおりです。
| 作業内容 | 詳細 |
|---|---|
| 主装置の設置工事 | ・電源を確保できる場所に主装置(PBX)を設置する ・各電話回線と主装置を接続する |
| 電話回線の収容工事 | ・主装置と各電話機を結ぶ回線を配線する ・断線防止のため、床やカーペット、壁内を通して配線する |
| 電話機の設定工事 | ・各フロアに設置する電話機の接続と設定する ・内線、外線の接続を確認する ・音量や聞き取りやすさを調整する |
工事完了後は、業者と一緒に各電話機の動作確認をおこない、問題がないことを確認します。
設置場所や社内レイアウトについては、事前に工事業者と詳細な打ち合わせをおこなうと、トラブルを防げるでしょう。
ビジネスフォン導入により得られる効果

ビジネスフォンの導入は、企業活動に多面的な効果をもたらします。
おもな効果は、以下のとおりです。
| おもな効果 | 詳細 |
|---|---|
| 業務効率の向上 | ・着信転送や保留機能を活用したスムーズな電話対応が可能になる ・CTI機能でパソコンと連携すれば、着信時に顧客情報を表示でき、対応履歴の確認も簡単におこなえる |
| 通信コストの削減 | ・内線通話が無料になる ・IP電話機能があれば、インターネット回線を利用して遠距離、国際電話料金を抑えられる |
| 顧客満足度の向上 | IVR(自動音声応答)機能や適切な担当者への取り次ぎにより、顧客の待ち時間を短縮し、一人ひとりに合わせた丁寧な対応が実現できる |
これらの効果は、企業の信頼性向上や従業員満足度の向上にもつながり、総合的な企業価値を上げることが期待できます。
ビジネスフォン導入にかかる費用目安

ビジネスフォンの導入費用は、オフィスの規模や導入するシステムの規模、作業内容によって変動します。
一般的な相場は、以下のとおりです。
- 小規模事務所や店舗(従業員5名程度):18万~30万円
- 中小企業(従業員30名前後):80万~170万円
- コールセンターや営業会社:430万~630万円
また、電話機1台につき1万〜2万円の工事費用がかかると想定されます。
選択する機種やメーカー、導入方法によっても大きく変動するため、複数の業者から見積もりを取得して比較検討することが重要です。
設置工事については、以下の記事も参考にしてください。
ビジネスフォンの設置工事には資格が必要!工事の種類や費用相場まで解説
ビジネスフォンの導入で通信費削減や業務効率の改善につなげよう

企業の通信コスト削減と業務効率化を実現するために、ビジネスフォンの導入は非常に有効な手段です。
複数の電話機で電話回線を共有できたり、社内通話を無料の内線通話にできたりすることで、通話料金を節約できるでしょう。
また、保留・転送機能により、適切な担当者への取り次ぎがスムーズになります。
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