小規模事業者持続化補助金の対象経費とは?活用事例や申請方法まで解説
小規模事業者持続化補助金は、事業計画により支出した補助の対象経費をもとに定められています。
もし補助対象外の機器・設備などの導入をおこなっても、補助金が交付されないため注意が必要です。
この記事では「小規模事業者持続化補助金の対象経費、活用事例や申請方法」を紹介します。
また、対象経費の申請方法まで解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者に対して援助する補助金事業です。インボイス制度や働き方改革など、取り組みにおける販路拡大を補助します。
そして、地域の雇用や産業を支える小規模事業者や個人事業主の生産性向上・持続的発展を図る目的があります。
補助金は、対象の事業が終了した場合に交付され、「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」など、実施した補助事業で支出した経費が後払いされます。
また、対象となる経費はあらかじめ決まっているため、公募要領に記載があります。補助金の交付を受けるには、経費に該当する事業計画の策定と遂行が必要です。
小規模事者持続化補助金の簡単な活用例
小規模事業者持続化補助金を活用できるケースは、主に次の通りです。
- 新サービス提供における製造や試作機の導入
- チラシ・カタログの外注および発送
- 商品販売のホームページ制作・作業内容がわかるウェブサイトのSEO実施
- 展示会への出展
- アルバイト・派遣労働者への諸経費
目的が販路開拓など明確であれば、用途を問わず活用ができるメリットがあります。
しかし、補助金の対象とは「目的が異なる事業」や「対象外となる支出」があると、審査が通らないおそれがあります。
そのため、事業の目的や経費に問題がないか判断ができない場合は、「商工会議所・商工会」や「補助金コンサルティング会社」へ相談も可能です。
小規模事業者持続化補助金【全11区分の対象経費】
小規模事業者持続化補助金について、経費の対象となる全11区分を紹介します。
- 1.機械装置等費
- 2.広報費
- 3.ウェブサイト関連費
- 4.展示会等出展費
- 5.旅費
- 6.開発費
- 7.資料購入費
- 8.雑役務費
- 9.借料
- 10.設備処分費
- 11.委託・外注費
1.機械装置等費
機械装置等費は、補助事業で必要な機械装置・ソフトウェアを購入したものを対象として補助されます。
たとえば、以下の通りです。
- 生産性向上のため、素早く車両を持ち上げるトータスリフトの導入
- 低体力者向けの個別トレーニング実行のための器具を導入
- 営業の回転率アップを目的とする、飲食店の厨房施設購入や増設
ただし、通常の事業活動費用や、経年劣化による機械装置の購入などは補助対象外です。
また、ソフトウェア使用権を経費としたい場合、按分の方式で算出し、補助事業の期間のみが対象となります。
そのほか、以下のような決まりもあるためよく確認が必要です。
- 中古品の購入は、一定のルールに沿う
- 1件あたり100万円(税込)以上の金額のものは、2社以上の見積りする
2.広報費
広報費は、広報媒体を活用するための対象経費で、以下が該当します。
- パンフレット
- カタログ
- チラシの作成
- 新聞
- 雑誌へ広告出稿
- 試作品・販促品
具体的には、以下の通りです。
- ターゲット層を絞り、学生向けの新聞へ広告を出稿
- アロマをベースとした、自社パンフレット・チラシ作成や提携店舗への設置
- 口コミ営業を壁打ちするために看板設置を実施
ただし、会社の宣伝PR・営業活動などに使われるものは対象外となり、未使用・未配布のチラシやパンフレットなども、補助金の対象外です。
3.ウェブサイト関連費
ウェブサイト関連費は、販路開拓目的のホームページやECサイトに要する補助対象経費です。
そのほか、補助事業に関するシステム開発・構築・更新・改修・運用や、SNSにかかる経費・動画撮影なども該当します。
たとえば、以下の通りです。
- カーリース事業を開始するため、事例紹介ページを改修
- 動画の撮影技術・おすすめ衣装レンタルを紹介するためのホームページ立ち上げ
- 市場拡大のため、ECサイト機能を備えたホームページの制作
また、機械装置等費や広報費は併せて申請が必要です。さらに、補助金交付申請額の1/4(通常:12.5万円、特別:最大50万円)が上限として設けられています。
4.展示会等出展費
展示会等出展費は、展示会へ新商品の出展や商談会への参加する際に要する補助対象経費です。
主に、出展や運搬、翻訳・通訳などにかかる費用が対象となります。ただし、運搬にかかる「レンタカー代」「ガソリン代」「駐車場代」は例外です。
ほかには、以下が挙げられます。
- パッケージデザインを実施後に物産展へ出展し、認知度拡大と販路開拓
- 中国の富裕層をターゲットに展示会へ出展
- 英語・韓国語・中国語でのパンフレット・ホームページ作成と、輸出による売上増加を目的とした海外への出展
ただし、目的が販売のみや選考会、審査会への参加、申込代、飲食費を含む商談会の参加費は対象外となるため注意しましょう。
5.旅費
旅費は、策定した補助計画に基づく販路開拓をおこなうために要した補助対象経費です。
主に、原材料の調達・調査に必要な宿泊代、移動費(バス、電車、新幹線、航空機)などが対象となります。ただし、航空機はエコノミークラスまでが対象です。
そのほか、航空保険料や出入国税も補助の対象になり、国の定める旅費の支給基準で算出されます。
一方で、以下は補助対象外となるため注意しましょう。
- 支給基準の超過分
- 宿泊での食事代
- 宿泊での入浴代
- 宿泊でのパスポート取得料
6.開発費
開発費とは、新商品やパッケージなどの試作品の開発に伴い、原材料・設計・デザイン・製造・改良・加工などをおこなうために要する補助対象経費です。
たとえば、以下の通りです。
従来は廃棄されてきた野菜を活用してシチューを開発し、商品パッケージのデザイン、販路開拓のチラシを作成して提携店舗へ配布
地元木材をベースに地元異業種との連携によるコラボ商品開発を実施
ただし、開発や試作段階の商品を販売する場合の開発費用、試作途中で余ってしまった材料費は補助金の対象外となります。
7.資料購入費
資料購入費は、補助事業を遂行するうえで必要な図書を購入する際に要する補助対象経費です。
ただし以下の条件があるため確認しておきましょう。
- 単価:10万円(税込)未満
- 購入部数(冊数):1種類あたり1部(1冊)のみ
- 中古書籍:同じ中古書籍で2冊以上を見積もりする
8.雑役務費
雑役務費は、必要な業務・事務を補助する役割として雇入れるためのアルバイト代、派遣労働者の派遣料や交通費を支払うための臨時的な補助対象経費です。
ただし、補助事業外の目的や、継続的な臨時とは異なる雇入れは、補助金の対象外となります。
9.借料
借料は、補助事業に必要となる機器や設備にかかるリース料やレンタル料として要する補助対象経費です。
たとえば、新しい商品やサービスなどをPRするために借りた会場費用は、借料の対象です。
ただし、実績を報告する際は、借用の見積書や契約書など確認書類が必須です。
また、補助事業の期間内に使ったものが該当し、補助期間外の契約したものは該当しません。
しかし、補助事業の期間で使用されたものがある場合、按分の方式で算出できるもののみ申請の対象となります。
10.設備処分費
設備処分費は、事業をおこなうための作業スペース拡大を目的に、事業者所有の機器・設備の廃棄処分、リース機器・設備の返却にかかる修理・原状回復に要する補助対象経費です。
ただし、対象経費となっている総額の1/2のみが申請可能な上限額となります。
一方で、補助対象外の「在庫廃棄の処分費」「消耗品の処分費」「原状回復不要の賃貸借の機器や設備」などは対象外です。
11.委託・外注費
委託・外注費は、経費区分1〜10に該当しない経費となります。主に、補助事業の遂行に必要な業務に対して「第三者への委託・外注」するために要する補助対象経費です。
具体的には、以下が挙げられます。
- イタリアンの雰囲気作りのため、店舗の外観をリニューアル工事
- 観光客に対し、集客・利便性を目的としたシャワールームの新規設置
- 新商品を生産する工場の改装や販売スペースの新設・確保に加え、工場見学の実施
また、経費として申請する場合は、委託や外注により作成された「成果物とわかる資料」の提出が必要です。
ただし「自社でおこなえる業務」や「成果物が補助事業者に帰属しないもの」は補助金の対象外となるため注意しましょう。
小規模事業者持続化補助金の対象外となるもの
小規模事業者持続化補助金の対象外となるものを、7つ紹介します。
- 1.証拠書類が確認不可のもの
- 2.汎用性があるもの
- 3.補助事業より前に発注したもの
- 4.補助事業と関連性がないもの
- 5.個人同士で購入したもの
- 6.ほかの制度で国の補助を受けた経費
- 7.販売品・レンタル品などの調達費
1.証拠書類が確認不可のもの
納品書や請求書などの証拠書類が確認不可のものは、対象経費として計上した場合でも対象外となります。
また、証拠書類を紛失してしまった場合も、紛失分のみが経費の補助対象外となる可能性があるため、書類管理はしっかりしておきましょう。
2.汎用性があるもの
補助事業以外の業務に対し、使用頻度が高く汎用性があるものは、補助対象外となります。
たとえば、以下の通りです。
- 自転車(そのほか、車両で「減価償却資産の耐用年数などに関する省令の機械および装置」で該当外となるもの
- パソコン
- パソコンの周辺機器(Wi-Fi・LAN_サーバー・ルーターなど)
- タブレット端末
- プリンター(事務用)
- 文房具
- 消耗品(事務用)
- 接待費用
そのほか、補助事業外で汎用性があり、使用できるものは対象外となります。
3.補助事業より前に発注したもの
補助事業より前に発注したものは、経費の要件に該当していても対象外になります。
たとえば、以下の通りです。
- 交付決定通知よりも前に機器・設備を借りた
- 事業計画の作成時に機械を購入していた
上記のケースなどは補助対象外となるため、間違えないように注意しましょう。
4.補助事業と関連性がないもの
補助事業と関連性がないものは、補助対象経費の範囲外です。
たとえば「販売済み商品の仕入れ」や、経理・事務作業などの「既存事業のための雑役務費」は、基本的な事業活動として補助事業に該当しません。
5.個人同士で購入したもの
ネットオークションやSNSなど、個人同士で購入したものは、補助金の対象経費にはなりません。
6.ほかの制度で国の補助を受けた経費
すでに補助対象経費以外の制度で国の補助を受けている経費がある場合、対象経費とはなりません。
たとえば、以下の通りです。
- 旅行支援での出張旅費
- 障害・福祉サービス事業と重なる経費
- 居宅介護サービス事業者から介護報酬を受けている
- 保険が適用される診療経費
7.販売品・レンタル品などの調達費
販売品・レンタル品などの調達費は、補助の対象外経費となります。
たとえば、以下の通りです。
- スクールや塾で使う有料教材の制作
- 有料配信コンテンツの動画制作
- レンタル事業者におけるレンタル機材の購入
- 本や電子書籍の出版※ただし、電子書籍における開発費は対象外
- コワーキングスペースなどの改装
そのほか「10万円以上かつ、現金払い」のものは、対象経費に該当しないため注意しましょう。
小規模事業者持続化補助金の対象経費の申請方法
補助金の対象経費を申請する際は、補助事業計画書2より「経費明細表」に経費の情報を記入します。
記入内容は、以下の通りです。
- 経費の区分
- 経費の内容(必要な理由)
- 経費の内訳(単価×回数)
- 補助対象経費(税込か税抜で表記)
また、課税事業者は税込・免税事業者は税抜でそれぞれ金額の記載が必要です。
小規模事業者持続化補助金は補助事業に利用できるものが対象
この記事では「小規模事業者持続化補助金の対象経費、活用事例や申請方法」を紹介しました。
事業で販路開拓をおこなう際などを支援する補助金制度で、11区分の対象経費が設定されています。
機械装置等費や広報費、展示会等出展費などが含まれ、幅広い用途に活用できる点が魅力です。
とくに販路開拓や生産性向上を目指す小規模事業者の方は、この記事を参考にしてみてください。