CONTACT

レピュテーションリスクとは?実際の事件や対策・対処方法を解説

2024年1月23日

レピュテーションリスクを考慮した企業運営を行わないと、最悪の場合倒産に追い込まれてしまうかもしれません。
しかし、この記事を読んでいる人の中には、「レピュテーションリスクとはなんのことだろうか」と疑問を持っている人もいるでしょう。

当記事では、レピュテーションリスクとはどのようなものなのか、企業へ及ぼす影響や事例、対策、対処法まで網羅して解説します。

レピュテーションリスクとは?

レピュテーションリスクとは、企業にとってマイナスな評判が社会に広まることで受ける損失のことを意味します。

企業活動を行ううえで、評判は無視できない要素の1つです。
企業の評判が悪くなると、取引の中止や売上の低迷、株価の下落、倒産に発展する可能性があります。

レピュテーションリスクの種類

レピュテーションリスクは、7種類にわけられています。
それぞれのリスクを熟知することは、レピュテーションリスクを対策する際、非常に重要です。

それぞれのリスクは、以下の表をご覧ください。

種類リスク内容
製品・サービス高品質で価値ある製品やサービスを提供する企業という信頼を失う
革新新しい製品やサービスを販売する革新的な企業という信頼を失う
職場働きやすい企業という信頼を失う
ガバナンス透明性の高い企業とういう信頼を失う
市民地域と環境に配慮した企業という信頼を失う
リーダーシップ明確な経営理念を持つ組織であるという信頼を失う
パフォーマンス将来性のある企業という信頼を失う

企業に及ぼす影響

レピュテーションリスクは、企業活動に大きな影響を与えます。

ここからは、レピュテーションリスクが企業に与える主な影響として下記の8つを紹介します。

  • 売上の低下
  • 株価の下落
  • 企業の信頼性が低下する
  • 退任や解雇が必要になる
  • 賠償金やリコールの対応をしなくてはいけない
  • 採用活動に影響が出る
  • 事態収拾のための費用がかかる
  • 行政対応

売上の低下

レピュテーションリスクが生じることで、売上低下につながります。

レピュテーションリスクによって口コミの評価が悪くなると、その口コミを見た消費者は、製品の購入を控えるでしょう。
早期収束も考えられますが、信頼回復がかなわない場合は、倒産に発展する可能性もあります。

株価の下落

レピュテーションリスクによる企業への影響には、株価の下落があります。

企業に問題が起こり、信頼性が低くなると、企業の将来性に不安を感じ、株を売りに出す人が多いです。
さらに、売り圧力によって株を手放す人も増えるため、株価が急落することも考えられます。

企業の信頼性が低下する

レピュテーションリスクが生じると、企業の信頼性が低下します。
信頼が失われると、取引が中止になることもあるでしょう。

一度失われた信頼を回復するのは、多くの時間と費用が必要です。

退任や解雇が必要になる

企業の責任問題が追及されると、社長や経営陣の退任に迫られることもあるでしょう。

また、業績悪化により、従業員の解雇が必要になる可能性もあります。

賠償金やリコールの対応をしなくてはいけない

商品やサービスによって、消費者に損失を与えた場合、賠償やリコールに対応しなくてはいけません。

過去には、大手通信教育の会社が、顧客名簿流出によって、個人情報登録者全員に賠償対応しています。

採用活動に影響が出る

レピュテーションリスクは、採用活動にも影響を与えることがあります。

レピュテーションリスクによって企業の信頼性が損なわれると、優秀な人材は他社への入社を希望するでしょう。
場合によっては、人材確保自体が難しくなるかもしれません。

事態収拾のための費用がかかる

レピュテーションリスクの事態収拾には、莫大な費用が必要です。

たとえば、前出した大手通信教育の会社は、個人情報の流出によって200億円分の原資を準備し事態収拾にあたりました。
企業規模が大きくなるほど、事態収拾にかかる費用も増えるでしょう。

行政対応

企業に重大な過失がある場合、業務停止命令や免許停止などの行政対応が取られます。

行政対応が行われると、企業の信頼性は大きく損なわれるため、信頼回復が非常に難しくなるでしょう。

レピュテーションリスクが起きる原因

レピュテーションリスクは、企業内部だけでなく、消費者が原因で起きることがあります。
「消費者が原因で企業の信頼性が損なわれるのは、どのような場面だろうか?」と疑問に思う人もいるでしょう。

そこで、レピュテーションリスクの主な原因を5つ紹介します。

  • 不祥事
  • 内部告発
  • 顧客情報の漏洩
  • 法令違反
  • 口コミ・SNSの投稿

不祥事

経営陣や従業員の不適切な発言やSNSへの不適切な投稿、不倫、隠蔽などの不祥事が発覚すると、レピュテーションリスクが生じます。

従業員一人ひとりが企業の顔であることを忘れずに、公式・非公式問わず発言や対応には気をつけなくてはいけません。
とくに、経営陣は、私生活の乱れが会社に影響する可能性があるので注意しましょう。

内部告発

パワハラや隠蔽、劣悪な労働環境などを内部告発されることで、レピュテーションリスクが生じることもあります。
企業は、コンプライアンスを遵守し、従業員が働きやすい、開かれた企業活動を行うことが大切です。

労働環境や企業に対する問題が浮上した際は、真摯に対応し、改善に努めましょう。

顧客情報の漏洩

顧客情報の漏洩は、顧客に重大な損失を与える可能性があるため、企業の信頼を大きく損ないます。
個人情報が漏洩した顧客は、精神的不安を感じるだけでなく、悪用によって金銭的損害を被る可能性もあるでしょう。

顧客情報の漏洩対策を行う際は、ハッキングによる流出や自社社員の名簿持ち出しだけでなく、委託会社の従業員による持ち出しへの対策も必要です。

法令違反

製品表示を偽ったり、ステルスマーケティングを行ったり、著作権侵害していることが発覚すると、レピュテーションリスクが生じます。

とくに、近年ステルスマーケティングが問題視され、令和5年10月1日から景品法違反に指定されました。
インフルエンサーにPR依頼をしている企業は、注意が必要です。

口コミ・SNSの投稿

消費者の口コミやSNS投稿によって、レピュテーションリスクが生じることもあります。

実際に、飲食店の利用客が、店舗利用時に行った迷惑行為をSNSに投稿し、炎上したことがありました。
その際、該当する飲食店は休業し、大きな損失を出しています。

2020年代に起きたレピュテーションリスクの事例

この章では、2020年代に実際に起きたレピュテーションリスクの事例を紹介します。

劣悪な衛生環境を告発され株価が下落

2022年、Twitter(現X)上で、大手中華料理店のフランチャイズ店で内部告発がありました。

告発内容は、厨房内の不衛生な環境や動物の飼育、不正受給に関するもので、同店舗はフランチャイズ契約を解除・閉店しています。
この告発により、大手中華料理店の株価は、告発前と比較して1割ほど下落しました。

客の迷惑行為によって1日で160億円の損失

2023年、Twitter(現X)上で、大手回転寿司チェーン利用客による迷惑行為が投稿され、炎上する事件がありました。

大手回転寿司チェーンは、迷惑行為の投稿によって、大幅に株価が下落し、1日で160億円の損失を出しています。
また、衛生面を考慮した備品の配置や注文方法の変更などの店舗対応に追われました。

保険金不正請求によ事業停止(ビックモーター)

大手中古車販売店の従業員の告発により、保険金不正請求が発覚しました。

当初告発はもみ消されましたが、保険会社やマスコミからの指摘により、外部委員会を設置します。
結果、不正請求以外にも多くの法令違反が判明し、国交省により業務停止命令が下されました。

レピュテーションリスクを回避する方法

レピュテーションリスクを回避するには、日頃から危機管理を徹底することが大切です。
しかし、「一体どのようなことに気をつけたらいいんだろうか」と悩む人もいるでしょう。

そこで、レピュテーションリスクを回避する方法として、以下4つのポイントを解説します。

  • 積極的な情報公開を行う
  • 労働環境の改善を図る
  • 従業員教育に力を入れる
  • ネット情報を監視する

積極的な情報公開を行う

積極的な情報公開は、レピュテーションリスクを低下させるポイントです。

公式発表された情報の少ない企業は、なにか問題が起きたとき、消費者はネット上やマスコミの発信する情報でしか企業を判断できません。
その場合、誤った情報で炎上してしまう可能性があります。

労働環境の改善を図る

パワハラや長時間労働、製品の品質低下は、労働環境の改善で解消できる可能性があります。

積極的に従業員同士でコミュニケーションを取れる環境作りや、業務課題を相談する窓口を設けることで、労働環境の問題がわかります。
労働環境の問題が浮上した際は、その都度改善に努めましょう。

従業員教育に力を入れる

レピュテーションリスクの低下のためには、従業員教育にも力を入れる必要があります。
ネットリテラシーや社内マニュアルを共有するのがおすすめです。

また、社外にパソコンやスマートフォンなどの重要機密が入った機器を持ち出す場合のルールも明確にしておきましょう。

ネット情報を監視する

ネット情報を把握できるよう、SNSなど、ネットの情報監視を行うこともレピュテーションリスク低下に有効です。

昨今、SNSでの炎上が増加傾向にあるため、ネット監視のサービスを行う代行会社も登場しています。
「自社でネット情報を把握しきれない」という場合は、代行会社を利用するのもおすすめです。

レピュテーションリスクが生じた際の対処方法

レピュテーションリスクが生じてしまった際は、早急に問題を把握することが大切です。
対応が後手にまわってしまうと、事態の収拾が大変になる可能性があります。

ここからは、レピュテーションリスクが生じてしまった際の対処方法を紹介するので、ぜひ頭に入れておいてください。

  • 情報の真偽や原因を追及する
  • 説明の場を設ける
  • 再発防止策を公表する
  • 風評被害や迷惑行為は法的手段を取る

情報の真偽や原因を追及する

レピュテーションリスクが生じたら、まず情報の真偽や原因を追及する必要があります。
嘘の情報や、第三者によって損失を被っている場合、法的措置を検討したり、被害拡大を阻止する施策を検討しなくてはいけません。

社内での問題によってレピュテーションリスクが生じた場合、原因を究明することで、どうしたら問題を解決できるのかが明確になります。

説明の場を設ける

情報の真偽や原因が明確になったら、公的な説明の場を設け、調査結果を報告するのがおすすめです。

公式発表がないと、消費者や株主はネットやメディアの発信する情報しか得られません。
ネットやメディアの情報の中には、穿った情報や嘘の情報も混ざっているため、公式発表がなければ、必要以上の損失を生んでしまう可能性があります。

再発防止策を公表する

レピュテーションリスクが生じても、真摯に対応し、再発防止策を講じることで、消費者からの信頼を回復できます。

再発防止策を検討する際は、自社内だけで検討せず、第三者委員会に判断を委ねるのがおすすめです。
再発防止策の内容が定まったら、公式発表して、二度と同じ事態が起こらないよう対策をしましょう。

風評被害や迷惑行為は法的手段を取る

嘘の情報が拡散されたことでレピュテーションリスクが生じた場合や、迷惑行為によって損失を被った際は、法的手段を取り、毅然とした対応を行うことも大切です。
問題を放置すると、嘘の情報が本当のものとして拡散されたり、模倣犯による二次被害、惨事被害を受けたりする可能性があります。

訴訟を行う場合、係争状況を小まめに公表することで、消費者の信頼回復につながるでしょう。

レピュテーションリスクを回避するには普段からの危機管理が重要

レピュテーションリスクを軽視すると、企業活動に大きな影響を与えるため、普段からリスク回避に重点を置き、万が一に備えて危機管理マニュアルなどを作成しておくことが大切です。

とくに、SNSは個人・企業アカウントともに、不用意な発言での炎上が頻繁に起こっているので、従業員のネットリテラシーの向上や、企業の公式アカウントの運営にも注意を払わなくてはいけません。
インターネットでの発信に気をつけたり、ネット情報を監視したりなどの対策を行うことで、レピュテーションリスクを大幅に軽減できるでしょう。

コラム - レピュテーションリスクとは?実際の事件や対策・対処方法を解説
PAGE
TOP