プリンターの利用制限でコスト削減とセキュリティ強化!設定手順を解説

「ムダなカラー印刷で経費がかさんでいる」「部門別の印刷コストを管理したい」「セキュリティ面で印刷管理を強化したい」など、オフィスのプリンター利用に関して課題を抱える企業もあるでしょう。
プリンターの利用制限を適切に設定すると、セキュリティ体制を強化しつつ、オフィスの印刷コストを削減しやすくなります。
この記事では、プリンター利用制限の基本的な仕組みから、基本設定、ユーザー登録と権限設定の詳細手順、機能別の利用制限の設定テクニックまで詳しく解説します。
印刷コストの削減と業務効率化を同時に実現するプリンター利用制限の完全ガイドを、ぜひご活用ください。
プリンターの利用制限とは?コスト削減につながる仕組み

オフィスにおけるプリンター関連のコストは、大きな経費となりえます。
特に、大勢のスタッフを抱える企業では、1枚あたり数円から数十円の印刷コストも、月間では相当な金額に膨れ上がります。
プリンターの利用制限とは、このような印刷コストを効果的に削減するための管理手法です。
印刷枚数の管理でムダを削減
プリンターを利用制限すると、オフィスの印刷コストを大幅に削減できます。
特に、印刷枚数の上限設定は、もっとも効果的なコスト削減方法の一つです。
各ユーザーの月間における印刷枚数上限の設定により、以下のムダな印刷を防げます。
- 印刷ミスによる再印刷の削減
- 大量印刷の抑制
- 私的利用の防止
- 不要な資料の印刷削減
印刷枚数を管理すると、従業員はコスト意識が向上して本当に必要な印刷のみをおこなうようになります。
その結果、用紙代やトナー代も削減できます。
カラー印刷の制限で経費を大幅カット
オフィスのプリンターにおけるカラー印刷は、モノクロ印刷と比較して約5~10倍のコストがかかります。
社内文書や会議資料など、カラーである必要がない印刷物を制限すると、大幅な経費削減が可能です。
カラー印刷制限の設定例は、以下のとおりです。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 全面禁止 | すべてのユーザーのカラー印刷を禁止 |
| 部分制限 | 特定の部署や役職のみカラー印刷を許可 |
| 枚数制限 | 月間のカラー印刷枚数に上限を設定 |
| 承認制 | 管理者の承認がある場合のみカラー印刷が可能 |
多くの企業では、カラー印刷を営業資料や対外的なプレゼンテーション資料に限定し、社内文書はモノクロ印刷を基本とすることで、印刷コストの削減に成功しています。
また、プリンタードライバーの初期設定をモノクロに変更して、意図しないカラー印刷を防ぐことも効果的です。
必要に応じて手動でカラーを選択する運用にすると、無意識のカラー印刷による無駄なコストを削減できます。
部門別・個人別の利用状況を可視化
プリンターを部門別ID管理で利用制限すると、部署や個人ごとの印刷状況を詳細に把握できます。
管理者は専用の管理画面から、以下の情報をリアルタイムで確認できます。
- コピー、プリント、スキャンの使用枚数
- カラー印刷とモノクロ印刷の内訳
- FAXの送受信件数
- ファイル保存や受信トレイの利用状況
どの部門が印刷コストを多く消費しているか、誰が必要以上にカラー印刷をおこなっているかなど、具体的な利用実態が明確になります。
月次レポートとしての出力も可能なため、部門ごとの印刷傾向を分析し、適切な予算配分や改善策の検討に役立てられます。
プリンター利用制限の基本設定:認証機能を有効にする

プリンター利用制限をおこなうためには、管理者パスワードの設定をしたうえで、認証機能の有効化が不可欠です。
これにより、誰が・いつ・どの機能を使用したかを正確に管理できるようになります。
管理者パスワードの設定手順
プリンターの利用制限を設定するには、管理者パスワードの設定が必要です。
管理者パスワードは、第三者による設定変更を防ぎ、利用制限の設定を確実に維持するために重要な役割を果たします。
以下の手順で設定しましょう。
| 管理者パスワードの設定手順 | 詳細 |
|---|---|
| 1.プリンターの操作パネルから設定メニューにアクセスする | ホーム画面から「設定」または「管理者設定」を選択する。機種によっては「システム設定」内にある |
| 2.セキュリティ設定を選択する | 「セキュリティ」または「管理者パスワード」の項目を探す。初回設定時は、デフォルトパスワードの入力を求められることがある |
| 3.新しいパスワードを設定する | 8文字以上の英数字を組み合わせた強固なパスワードを設定する |
| 4.設定を保存し、確認する | 設定を保存し、一度ログアウトしてから再度ログインして動作を確認する |
管理者パスワードを設定すると、認証機能の有効化やユーザー登録など、利用制限の設定を安全に進められます。
パスワードは厳重に管理し、必要な管理者のみで共有してください。
認証方式の選択
プリンターの認証方式には、「本体認証」「外部認証(サーバー認証)」があります。
| 本体認証 | 外部認証(サーバー認証) |
|---|---|
| ・プリンター本体にユーザー情報を直接登録する ・ネットワーク環境に依存せず、独立して運用が可能 ・小規模オフィスや部門単位での管理に適している ・設定や管理が比較的シンプル | ・外部認証サーバー(LDAPサーバーなど)に登録されたユーザー情報を利用する ・複数のプリンターを一元管理できる ・大規模な組織での運用に適している ・既存の社内認証システムと連携が可能 |
認証方式を選択するときは、組織の規模やセキュリティ要件を考慮することが重要です。
本体認証は導入が簡単ですが、管理できるユーザー数に制限があります。
一方、サーバー認証は初期設定が複雑ですが、多数のユーザーを効率的に管理することが可能です。
初期設定
一般的な初期設定の手順は、以下のとおりです。
- 操作パネルから「初期設定」を選択する
- 「本体初期設定」→「システム初期設定」の順に進む
- 「管理者用設定」タブを押して「次へ」を選択する
- 「ユーザー認証管理」から認証方式を選択する
設定完了後は、認証が正しく機能するかをみるために、必ず動作確認をおこないましょう。
プリンター利用制限におけるユーザー登録と権限設定の詳細手順

プリンターを利用制限するには、ユーザー登録と権限設定をおこないます。
詳しい手順を以下で紹介します。
1.ユーザーアカウントの新規作成
プリンターを利用制限するためには、各ユーザーのアカウントを作成する必要があります。
ユーザーアカウントの作成手順は、以下のとおりです。
- プリンターの操作パネルから「設定」→「管理者設定」を選択し、管理者パスワードを入力する
- 「ユーザー管理」または「アカウント管理」メニューを選択する
- 「新規追加」ボタンを押し、ユーザー名・パスワード・所属部門・メールアドレスを入力する
- 各ユーザーに対して、印刷・コピー・スキャンなどの基本的な利用権限を設定する
最初に全機能を「許可」にしておき、後から個別に制限をかけることも可能です。
登録が完了すると、ユーザーは設定したIDとパスワードでプリンターにログインできるようになります。
2.部門コードの設定と管理
部門コードの設定は、部門別に印刷枚数を利用制限でき、コスト削減を実現します。
設定するときは、管理画面から「部門別ID管理」機能を有効にし、各部門に対して以下の項目を設定していきます。
- 部門ID番号(4~8桁の数字)
- 部門名称(経理部、営業部など)
- 暗証番号(セキュリティ確保のため)
設定が完了すると、各部門のメンバーは割り当てられたID番号と暗証番号を使用して、プリンターの認証画面からログインできるようになります。
部門コードの運用開始後は、定期的に利用状況を確認し、必要に応じて設定を見直すことが大切です。
月次レポートを活用して各部門の印刷傾向を分析し、より効果的なコスト管理を実現しましょう。
3.個別の利用権限の割り当て
登録したユーザーアカウントに対して、プリンターの機能ごとに利用権限を細かく設定すると、より効率的な運用管理が実現できます。
権限設定では、印刷機能の利用可否やカラー印刷の許可/制限、両面印刷の強制設定、印刷枚数の上限値などの項目を個別に利用制限できます。
設定手順は、以下のとおりです。
- 管理者アカウントでプリンターの管理画面にログインする
- ユーザー管理メニューから対象ユーザーを選択する
- 「権限設定」または「利用制限」の項目を開く
- 必要に応じて各機能の利用可否をチェックボックスで設定する
- 設定内容を保存して適用する
細かな権限設定により、部署や役職、利用頻度に応じた適切な制限を実施できます。
プリンター機能別の利用制限設定テクニック

プリンター機能別の利用制限は、ユーザーコード認証を活用すると効果的に実現できます。
たとえば、モノクロ/カラー印刷の使い分け、コピー機能の利用制限、スキャン・FAX機能の制御などがあげられます。
モノクロ/カラー印刷の使い分け設定
カラー印刷は、モノクロ印刷と比べて約5倍のコストがかかるため、必要に応じて適切にプリンターの利用制限をすることが重要です。
たとえば、部門・ユーザー別の制限設定として、デザイン部門にはカラー印刷制限なしとして、一般社員にはモノクロのみ許可するのもよいでしょう。
また、多くの複合機では、原稿の内容を自動判別し、テキストのみの文書は自動的にモノクロ印刷に切り替える「原稿自動判別機能」が搭載されています。
この機能を有効にすると、ユーザーの意識に頼らずともコスト削減が可能です。
コピー機能の利用制限
コピー機能の利用制限は、プリンターの無駄な使用を抑制する重要な設定です。
制限方法には、ユーザー別の制限設定と認証によるアクセス制御があります。
一般的な認証によるアクセス制御の設定手順は、以下のとおりです。
- 機械管理者モードでログインする
- 「認証/集計管理」→「認証の設定」を選択する
- 「アクセス制御」から「機能の制限」へ進む
- 「カラーコピーの使用」を「制限する」に変更する
設定によりコピー機能の適切な管理が実現し、印刷コストの最適化につながります。
スキャン・FAX機能の制御方法
プリンターにおけるスキャン機能の制御では、以下のような設定が可能です。
- スキャンデータの保存先制限(特定のフォルダのみに限定)
- スキャン解像度の上限設定(データ容量の削減)
- ファイル形式の制限(PDFのみ、JPEGのみなど)
また、FAX機能については、以下のような利用制限の設定ができます。
| 設定項目 | 制限内容 |
|---|---|
| 送信先制限 | 登録済みの宛先のみ送信可能 |
| 送信時間帯 | 営業時間内のみ利用可能 |
| 送信枚数上限 | 1回あたりの最大枚数を設定 |
設定するときは、管理者画面からユーザーやグループごとに権限を割り当てます。
特に、機密情報を扱う部署では、スキャンデータの外部送信を制限したり、FAXの誤送信を防ぐために送信前確認を必須にしたりすることが重要です。
印刷枚数の上限設定
プリンターの印刷枚数を上限値で管理すると、無制限な印刷によるコストの増加を防げます。
一般的に、印刷枚数は「印刷ページ数 × 度数」でカウントされます。
度数は用紙サイズや印刷色に応じて設定できるため、より細かなコスト管理が可能です。
また、利用量カウンターは、以下のタイミングでリセットできます。
- 月ごと:指定日時に毎月自動リセット
- 日時指定:特定の年月日にリセット
- 指定日数ごと:一定間隔でリセット
- 手動:必要に応じて管理者がリセット
これらの利用制限により、部門や個人の印刷量を効果的に管理し、印刷コストの最適化を実現できます。
プリンターの利用制限でオフィスの印刷コストを最適化しよう

プリンターの利用制限を適切に設定できると、オフィスのプリンター利用に関する課題を解消しやすくなります。
印刷枚数やカラー印刷の制限で、経費をカットできるでしょう。
部門別・個人別の利用状況も明確になります。
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