Googleアナリティクスが終了|UAとGA4の違いや移行のために実施すべきこと

利用している方であれば既に知っているかもしれませんが、以前から告知されていたようにGoogleが提供していた、標準のユニバーサル アナリティクス(英:Universal Analytics / 以下「UAまたはアナリティクス」)のデータ処理が2023年7月1日をもって終了しました。
この記事では、現行バージョンのGoogle アナリティクス 4(英:Google Analytics 4 / 以下「GA4」)へ移行するためにやるべきことや、移行しないとどうなるのか、また難しいといわれるGA4の基本的な考え方などについて解説しています。
Universal Analyticsのサポートが終了します

GoogleからのGoogle Analyticsに関するアナウンスは、2022年3月16日に以下のように発表されました。
内容は、今回の2023年7月1日のデータ処理停止についてです。
2023年7月1日をもって、標準のユニバーサル アナリティクス プロパティにおける新しいヒットの処理は停止されます。
現在ユニバーサル アナリティクスをご利用のお客様には、Google アナリティクス 4 を使用するための準備をしていただくことをおすすめします。
(support.google.comからの引用)
UAは段階的に終了、このため短期間継続となる
多くの企業が導入して利用しているUAの停止は影響が大きいためか、データ処理の停止からレポート画面へのアクセス終了まで段階的に行われることが分かっています。
現時点で確定していることは、2023年7月1日から2023年の12月31日まではUAのレポート画面にアクセスできるということです。
つまり、短期間は継続されますが、それ以降はどこかのタイミングでUAのレポート画面にもアクセスができなくなります。
2023年7月までにはGA4の導入が必須
GoogleはUAのサポートを終了していくにあたって、その前にGA4へ移行することを促しています。
そのため、UAを利用中の企業をはじめとした対象者は、GA4への移行について早めに準備することが望ましいと考えられます。
まだGA4へ切り替えを行っていないのであれば、1日でも早く移行を済ませることがおすすめです。
GA4の運用を開始するために実施すべきこと

UAのデータ保証期間である2023年12月31日までに済ませておきたい、GA4の運用を開始するために実施すべき事項は次の3つです。
- ①GA4で必要なデータ取得項目の定義やトラッキング基盤整備する
- ②GA4で定点観測したいレポーティング項目の設計する
- ③UAデータで保存したいデータと保存方法の検討する
万が一、2023年12月31日までに行えなかった場合は、来るXデー(完全にUAサポートが終了する日)までに移行できるよう、できる限り早く対処しましょう。
①GA4で必要なデータ取得項目の定義やトラッキング基盤整備する
残念ながら、UAで収集した過去データをGA4に移行することはできません。
また、GA4とUAは異なる部分も多くあります。
そのため、GA4でどのデータ項目を取得したいかトラッキング基盤を再整備しなくてはなりません。
トラッキング基盤を再整備する上で優先して検討すべき項目
トラッキング基盤を再整備する際に特に優先して検討すべき項目は次の3つの項目です。
- ●各ツールとの連携の設定について
(Google Tag Manager、Google Search Console、Google BigQueryなど) - ●イベントトラッキング(クリック、スクロールなど)の設定について
- ●クロスドメイントラッキングの設定について
②GA4で定点観測したいレポーティング項目の設計する
GA4ではディメンションレポートが減っており、カスタムレポートに変わって、「探索レポート」が追加されています。
つまり、どのようなデータ項目を詳細に分析したいのか、可視化すべき要件を整理してから探索レポートを作成することが必要となります。
- ●マクロ視点による分析
└デフォルトのディメンションレポートで分析が可能 - ●ミクロ視点による分析
└探索レポートをチューニングする必要がある
③UAデータで保存したいデータと保存方法の検討する
UAで取得していた過去のデータを確認できるよう、バックアップを用意しておくことが必要です。
スムーズにバックアップしたデータで数字の確認ができるよう、次のように整えておくことをおすすめします。
- ●必須項目としてUAの過去のデータを出力して保存しておく
(CSV、Excel、スプレッドシート、PDFなど) - ●必要なデータ項目や可視化すべき要件を整理した後、レポーティングを作成する
- ●UAの過去データをGoogle データポータルへとインポートし、ダッシュボードを作成する
H2 GA4へ移行しない場合どうなってしまうのか?

もし、GA4に移行しなかった場合はどうなるのかというと、アクセス解析ができない状態となります。
UAとGA4は計測仕様が異なるため、移行したとしてもまったく同じようには見れないとはいえ、移行作業を怠るとGA4でデータストックができずに計測に空白期間ができてしまいます。
これは、UAでコツコツと計測データをとってきたのに非常にもったいないことです。
また、その他の大きな影響として次のようなことが考えられます。
- ●UAで設定していた目標設定の喪失
- ●UAで連携していた外部システムとの連係解除
UAの過去計測データの閲覧について
UAの過去に計測したデータが保証されている期間、つまり閲覧が可能なのは2023年12月31日までです。
ただし、2024年1月1日以降は明確な期日は明らかにされていませんが、どこかのタイミングでデータ閲覧もできなくなることが決定しています。
遅かれ早かれUAが完全に利用できなくなるため、確実にバックアップデータを保管しておきましょう。
UAとGA4の主な違い

UAとGA4では、アクセス解析に関する基本的な考え方をはじめ、「画面構成」「機能」「仕様」なども大きく異なります。
移行してもすぐに今まで通りに使えるとはなりにくいため、慣れるまでは不便に感じるかもしれません。
GA4で可能になったこと
機能は使用が変わり、GA4になったことで可能になったこともあります。
UAにはありませんでしたが、GA4で可能になった主な内容としては次の2点があげられます。
- ①イベントを軸とした計測が可能になった
- ②Webとアプリをまたいだ計測が可能になった
①イベントを軸とした計測が可能になった
まず、UAとGA4ではデータの収集方法が異なります。
UAはセッションベースでしたが、GA4はユーザーベースです。
つまり、UAではページを軸とした計測だったのに対して、GA4はイベント(行動)を軸とした計測ができるということになります。
ユーザーの行動を軸に計測したデータを解析できることになります。
②Webとアプリをまたいだ計測が可能になった
UAではWebとアプリをまたいだ計測はできませんでした。
その点、GA4ではそれが可能となり、Webとアプリを一つのプロパティとして計測できるようになっています。
クロスデバイスでの計測ができるようになったため、計測結果を次につなげやすくなったといえるでしょう。
なぜ「Google アナリティクス 4(GA4)は難しい」と言われるのか

UAの終了を見据えて、2020年にGA4がベータ版でリリースされてから「GA4は使いこなすのが難しい」「GA4はやりにくい」という声が多く聞かれました。
GA4が難しいといわれる理由として、GA4はUAの時よりも「主体的にデータ分析を行う必要があること」が考えられます。
UAよりも主体的な活用が求めらえるGA4
UAは受動的で「とりあえずタグを入れて使い方を覚えれば、ひととおり分析ができるようになる」ツールとして利便性が高いものでした。
そのため、UAの各種レポートの見方や使い方さえ覚えれば、基本的なWeb分析の方法についてもある程度は自動的に学習できるようになっています。
一方、GA4は自由度の高さや高機能さが増し、「データ分析の方針を主体的に考えてサイトや組織に合った活用方法を決定する」必要があることから、分析上級者向けのツールであるといえます。
しかし、いよいよUAが完全に終了することが確実となっている現在、計測と分析を続けるのであればGA4の導入に取り組むしかありません。
UAからGA4へと切り替えていく

ここでは、UAからGA4へと切り替えていく際の具体的な作業について説明していきます。
- ●UAからGA4へのデータ移行は難易度が高い
- ●GA4へ移行する代理店を選ぶポイント
UAからGA4へのデータ移行は難易度が高い
UAからGAにデータを移動はできませんが、Googleの公式記事内で紹介されている次の2つの方法を応用すればBigQueryでデータを統合することは可能です。
- ●Google アナリティクス Reporting API を使用してデータをエクスポート可能
- ●Google アナリティクス 360 をご利用の場合: BigQuery へのエクスポートも可能
しかし、この方法は技術的な難易度がかなり高く、専門知識と時間が必要になります。
詳しい技術がない場合には、自社で行うにはあまり現実的な選択肢ではないため、移行について外注を利用するのも1つの方法です。
GA4へ移行する代理店を選ぶポイント
GA4への移行について費用の相場は内容により5万円~15万円ほどです。
必要なニーズに合わせて見積りを依頼してみましょう。
費用とプランの内容を見極め、最適な移行代行会社を選べるよう、次の4つをポイントにしてみてください。
<UAからGA4へ移行代行会社を選ぶポイント>
- ●最新のGA4の設定に対応できる
- ●コンバージョンやタグの設置を依頼できる
- ●豊富な実績がある
- ●アフターフォローがしっかりしている
H2 Googleアナリティクスの歴史

UAが終了し、GA4に変わることが大きな話題となりましたが、Googleアナリティクスはこれまでも進化を遂げてきました。
ここでは、GoogleアナリティクスがGA4時代に到達するまでの歴史を紹介します。
2005年、第1世代リリース
Googleアナリティクスは、2005年にアクセス解析ツールとして誕生しました。
Googleが有料解析ツール「Urchin(アーチン)」を買収し、これが実質的な第1世代のGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)のスタートにとなったのです。
当初は申請形式で誰もが利用できるものではありませんでしたが、2006年には登録すれば誰でも利用できるツールになりました。
第2、第3世代へと進化
Googleは「Urchin」をベースに機能改修を加えて、2007年に第2世代のGoogleアナリティクスをリリースしました。
それがいわゆる第2世代で、eコマース、イベント計測の導入など、Googleアナリティクスの主な機能が基礎づけられました。
第3世代が登場したのは2012年です。
異なるドメインによるページをまたいだユーザー行動を計測する「クロスドメイントラッキング」や「ユーザーID測定」などに対応できるようになりました。
Googleタグマネージャー(GTM)の活用が始まったのもここからです。
第4世代「GA4」時代到来
ユーザーの行動の複雑化に対応したGA4が、リリースになったのが2020年です。
GA4は、Googleアナリティクスとしては4つ目にして最新のバージョンということになります。
GA4は「Webとアプリを横断した分析」「AI・機械学習の進化」「プライバシー保護の尊重」などが反映されています。
これまでのアナリティクスとはまったく異なるアップデートになっているといえるでしょう。
GA4の特徴

GA4は、新世代のGoogleアナリティクスのプラットフォームです。
中でも次のような特徴が、Webサイトの運用を重視している多くの企業から注目されています。
- ①ユーザーの複雑な動きに対応できる
- ②AI・機械学習を活用する点
- ③プライバシーへの配慮が可能
①ユーザーの複雑な動きに対応できる
Webサイトとアプリのどちらも利用して回遊しているユーザーの識別が可能です。
ちがう端末からのアクセスであっても、同一のユーザーとしてカウントすることができます。
②AI・機械学習を活用する点
データに異常な変化が見られると自動的に通知ができます。
また、機械学習による予測機能により、「購入」や「問い合わせ」といった可能性が高いユーザーの動きなどの予測指標が活用できます。
③プライバシーへの配慮が可能
プライバシー保護に関する法整備およびCookieの利用規約に伴って、Cookieを使わずに個人のプライバシーを守りながらデータ収集することが可能です。
GA4の導入はお早めに!

UAの計測はすでに終了し、計測と解析を継続していくためにはGA4の導入が必須となっています。
また、UAで計測していた過去のデータについても、間もなく閲覧自体もできなくなることが確定しています。
GA4への移行は初心者には難易度が高い部分もありますが、最低限できることもあります。
しかし、そこに時間を割かず本業に専念するためにも、「手順がわかりにくくてこずっている」「少し不安が残る」といった場合は、GA4の導入支援を行っている代行会社へ外注して任せるのが安心です。
ニーズと技術に合った選択をし、Webサイトの運用に欠かせないデータの計測と解析に空白期間をつくらないようにしましょう。