FAXデータは電子帳簿保存法の対象?判断基準や電子化するメリット4つ
FAXデータの保存方法について、電子帳簿保存法に当てはまるのか判断に迷うケースがあります。
しかし、取り扱うFAX機器によって異なるため、適切なデータ保存が必要です。
この記事では「FAXデータが電子帳簿保存法の当てはまるかどうかの判断基準や電子化するメリット」について紹介します。電子データをFAXで受信する際の注意点もあるため、ぜひ最後までご覧ください。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法は、国税に関する書類や帳簿の電子保存を許可する法律です。
1998年に制定され、2020年と2022年に改正されたため、企業が電子帳簿保存法に対応するハードルが下がり、業務の効率化が進みました。
従来は紙で保存するのが原則でしたが、電子化の促進により、リモートワークなどの新しい働き方にも対応できるようになりました。
FAXで電子帳簿保存法の対象になるかの判断基準
FAXでの電子帳簿保存法の判断基準は、以下の2つです。
- 紙で出力する場合は電子帳簿保存法に当てはまらない
- 電子データで保存できる場合は電子帳簿保存法に当てはまる
紙で出力する場合は電子帳簿保存法に当てはまらない
受信したFAXを紙で出力する方式であれば、電子帳簿保存法には当てはまりません。
紙で出力された書類は、従来通り紙のまま保存できます。また、スキャナーによる保存の要件に従えば、書類をスキャナー保存したあとであれば、原本の破棄も可能です。
電子データで保存できる場合は電子帳簿保存法に当てはまる
受信したデータを電子データとして保存できるタイプのFAX機器は、電子帳簿保存法に当てはまります。
2022年1月1日以降、授受したFAXデータは、電子データとして保存する義務があります。
保存期間は、事業年度の「確定申告書の提出期限の翌日から7年間」、もしくは事業年度で「欠損金額・災害損失欠損金額が生じた際は10年間」です。
【FAXタイプ別】電子帳簿保存法の対象内容
電子帳簿保存法の対象内容は、具体的に以下の4タイプに分かれます。
- 【FAX送信側】紙を読み取って送付するタイプ
- 【FAX送信側】電子データを送信するタイプ
- 【FAX受信側】受け取りデータを紙で受領するタイプ
- 【FAX受信側】受け取りデータを電子データで受信するタイプ
【FAX送信側】紙を読み取って送付するタイプ
紙を読み取って送信するタイプのFAX機器を使用する場合は、電子取引には当てはまりません。
FAXで送信した書類は、紙のまま保存できます。また、受信側の方式が「電子データ」か「紙」かどうかは問いません。
【FAX送信側】電子データを送信するタイプ
ペーパーレスFAXで送信するタイプのFAX機器を使用する場合は、電子取引に当てはまります。
そのため送信側は送った電子データを、電子化して保存する義務があります。
【FAX受信側】受け取りデータを紙で受信するタイプ
受信したデータを紙で出力するタイプのFAX機器を使用する場合は、電子取引には当てはまりません。
受信データを、紙の状態のまま保存できます。また、送信側の方式が、「電子データ」か「紙」かどうかは問いません。
【FAX受信側】受け取りデータを電子データで受信するタイプ
ペーパーレスFAXで受信した場合は、電子取引に当てはまるため、該当の電子データを保存する義務があります。
そのため、受信側は受け取りデータを、そのまま電子データとして保存する義務があります。
FAXを電子帳簿保存法に基づいて電子化するメリット4つ
FAXを電子帳簿保存法に基づいて電子化するメリットは、以下の4つです。
- コストが削減できる
- 業務を効率化できる
- 簡単にデータを保管できる
- セキュリティを強化できる
コストが削減できる
ペーパーレスタイプのFAX機器を使用することで、印刷のための「紙代」「インク代」などのコストが削減できます。
また、書類を保管するスペースが不要になるため、ほかの用途に有効活用できます。
業務を効率化できる
ペーパーレスタイプのFAX機器を導入することで、業務の効率化が進みます。
FAXデータをリモートワークで取得できる仕組みが整っていれば、書類の管理や押印のために出社する必要がありません。
書類を探す時間や移動時間を短縮できるため、そのほかの業務に時間を費やせます。
簡単にデータを保管できる
電子データとして保存することで、簡単に書類データの保管や管理が可能です。
また、検索機能を活用すれば、必要な書類を迅速に見つけられます。
今まで手動で複雑だった作業が、デジタル化によって簡素化できます。
セキュリティを強化できる
電子データとして保存できると、セキュリティが強化できます。
たとえば、タイムスタンプの付与や訂正・削除の履歴管理などがおこなえます。
電子データの保存要件を満たすことで、データの信頼性アップが可能です。
電子データをFAXで受け取る際の注意点2つ
電子データをFAXで受け取る際の注意点は、以下の2つです。
- PDFファイルを紙に印刷して保存できない
- FAXの取引方法を送信側と受信側で合わせる必要はない
PDFファイルを紙に印刷して保存できない
2024年1月から、FAXで受信したPDFファイルは電子データでしか保存してはいけません。
PDFファイルを紙で出力して保存できないため、間違えて印刷しないように注意しましょう。
FAXの取引方法を送信側と受信側で合わせる必要はない
送信者と受信者で、取引方法を合わせる必要はありません。
たとえば、送信者が電子データで送信した場合でも、受信者が紙で出力した場合は電子帳簿保存法に当てはまりません。
ただし「メール」や「チャット」でやり取りをする場合は、電子取引になるため注意しましょう。
電子データで保存して業務を効率化しよう
この記事では、「FAXデータが電子帳簿保存法に当てはまるかの判断基準や電子化するメリット」について紹介しました。
FAXデータが電子帳簿保存法に当てはまるかどうかは、データの保存方法によって異なります。
紙で出力するタイプのFAXは電子帳簿保存法に当てはまりませんが、電子データで保存できるタイプのFAXは当てはまります。
また、ペーパーレス化により印刷コストが削減され、リモートワークでも書類管理が容易になるため、業務の効率化やコスト削減が期待できます。
特に、業務効率化やコスト削減を目指す企業は、この記事を参考にしてみてください。