CEMとは顧客経験を管理するマーケティング手法|CRMとの違いとは?

CEMとは、顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)を管理するマーケティング手法です。
顧客経験を管理することで、自社ブランドを高めるなどの効果を期待できます。
CEMを活用して効果的なブランディングを実践しましょう。
この記事ではCEMを実践するメリットやCEMの活用方法を紹介しますので、参考にしてください。
<この記事で分かること>
・CEMとはどういう意味?
・CEMはCRMやMAとは何が違う?
・CEMをすることのメリットとは?
・CEMを実行する際のポイントとは?
CEMとはどういう意味?

CEMとは顧客経験を管理するマーケティング手法です。
Customer Experience ManagementあるいはCustomer Engagement Managementの頭文字を取った略称となっています。
顧客経験とは?
CEMにおける顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)とは、企業と顧客が関わりを持つ中で顧客が得られる体験のことです。
体験とは意識的・無意識的に関わらず、顧客が感じられる満足度やロイヤルティを指します。
顧客が感じる価値は、金銭的に得られる定量的な価値のみならず、総合的な満足度です。
例えば、お店を利用した時に従業員の接客態度が良かったり、清掃サービスが行き届いている場合に「気持ちよく利用できた!」と感じたりするのも顧客経験の一種です。
CEMにおいては、企業が顧客と接する中で顧客経験を高めて企業の印象をイメージ付けることが求められます。
カスタマーエクスペリエンスとは、企業や企業ブランドと顧客との間で生じる一連のやりとりを通じて顧客が意識的・無意識的に得る満足度やロイヤルティ、およびその度合い、あるいは、それを向上させる取り組みのことである。
企業と顧客との各接点で見出される満足(または不満足)の度合いが積み重なった総合的な評価がカスタマーエクスペリエンスであるといえる。
引用:weblio
CEM2つの要素
CEMで重要視される2つの要素があります。
これらの要素に注視することで質の高い顧客経験を与えることが可能です。
要素①:カスタマーエクスペリエンス
CEMではカスタマーエクスペリエンス(顧客経験)を最重要視します。
顧客に良質なカスタマーエクスペリエンスを与えることで、利益に還元されるという考え方です。
要素②:顧客ロイヤルティ
顧客ロイヤルティとは、顧客がカスタマーエクスペリエンスを得たことによって感じる「信頼」や「愛着」などを意味する言葉です。
顧客は良質なカスタマーエクスぺリエンスをすることで店やサービスのファンとなり、サービスへの対価としてお金を払います。
顧客ロイヤルティによって短期的な売上が増えるだけでなく、リピート率の増加や口コミが拡散されるといった副次的な効果も見込めます。
CEMとCRMの違い

CEMと似た言葉に「CRM」というものがあります。
CRMは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った略称で、日本語に訳すと「顧客関係管理」という意味です。
CRMは既存顧客がターゲット
CRMは既存顧客をターゲットとしたマーケティング活動です。
一方、CEMは既存顧客だけでなく見込み顧客や一般消費者を取り込もうとするマーケティング活動となります。
<CEMとCRMの違いとは?>
CEMとCRMはターゲットとしている顧客層に違いがある。
CRMは既存顧客がターゲットだが、CEMは見込み顧客や一般消費者もターゲットとしている。
CRM+MA
CRMとCEMの中間的な概念としてCRMとMAを組み合わせたものがあります(CRM+MA)。
CEMはこの「CRM+MA」という考え方に加え、一般消費者もターゲットです。
自社の商品やサービスに興味の無かった一般消費者も顧客に取り組んでしまおうとするのが、CEMの目標となります。
CRM | 既存顧客 |
CRM+MA | 既存顧客+見込み顧客 |
CEM | 既存顧客+見込み顧客+一般消費者 |
MAとは?
MAはMarketing Automationの略称で、マーケティングの自動化という意味です。
マーケティングとは商品やサービスが売れる仕組み作りという意味を持ちます。
すなわち、CRM+MAでは既存顧客に加えて見込み顧客も集客のターゲットとなります。
MAの目的はマーケティング活動の業務効率化です。
マーケティング業務にかけていた人件費など経費を削減しつつ効果アップを目指します。
MAの活用例として挙げられるのが、DMの自動配信や広告管理といった方法です。
マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動の効率化・最適化のために用いられるツールを指す語である。
マーケティングオートメーションは、単純なメール自動配信ツールのようなツールではなく、顧客の好みや動向の分析・把握、顧客に応じや広告配信やコンテンツ配信の配信チャネルやタイミングの選定・管理といった、複数の要素にまたがる一連の(複雑な)デジタルマーケティングを人手によらずに実現するものとして捉えられる。より多くの顧客・見込み客に、より効果的・効率的にはたらきかけ、マーケティング成果を獲得するソリューションと位置づけることができる。
マーケティングオートメーションは欧米ではすでに普及が進んでいる。日本でも2015年前後から特に注目が高まりつつある。引用:『MA(マーケティング・オートメーション)』とは?|weblio
CEM活用のメリット

CEMをするメリットとして、以下3点が挙げられます。
- ファンを獲得できる
- LTVを高められる
- 口コミが拡散される
CEMは顧客を増やすだけでなくLTVを高めることで収益力も高める効果があります。
それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
メリット①:ファンを獲得できる
CEMでは企業やサービスのファンを獲得できます。
CEMの対象者は既存顧客だけでなく一般消費者も巻き込むマーケティング活動です。
商品やサービスを体験することで価値のある経験をするため、企業のファン獲得に繋がります。
メリット②:LTVを高められる
CEMを活用することでLTVを高められるのもメリットです。
LTVは「Life time value」の略称で生涯顧客価値という意味です。
企業が顧客と長期的な関わりを持つことでLTVを高められます。
LTVを高めることによって、店側は将来の利益を獲得可能です。
CEMが成功しているかどうかチェックする際には、LTVの指標を重視します。
「顧客1人に対してどれぐらい売上があるか?」「顧客1人に対してどれだけ利用回数があったか?」という定量的な数値により、CEMが成功したかどうかを判断できるのです。
一人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益(価値)のこと。
プロダクト中心の従来のマーケティングから顧客重視のマーケティングにシフトしてゆく中で注目されてきた概念のひとつ。激しい市場競争の中において、自社の顧客との良好な関係を構築し企業利益を向上させようとするCRMにおける重要な指標で、
顧客価値=利益×取引期間(ライフタイム)×割引率(現在価値係数)
であらわされる。
つまり、自社の製品やサービスが継続的に顧客に選択され続けることが顧客価値向上の原点となります。引用:『LTV:』とは?|weblio
メリット③:口コミが拡散される
CEMを行うことで好意的な口コミが拡散されるのもメリットです。
CEMで良質なカスタマー・エクスペリエンスをすると「自分の経験を他人にも伝えたい!」と思うようになります。
良い口コミが多い店には、自然と顧客が集まるでしょう。
口コミを管理するにはGoogleマイビジネスで口コミを管理する方法があります。
NPS
顧客ロイヤルティを図る指標として「NPS」があります。
NPSとは「Net Promoter Score」の略称です。
「顧客推奨度」や「正味推奨者比率」と訳されます。
NPSは顧客がサービスについて「どれぐらい他人に勧めたいものか」を表す指標です。
NPSは顧客ロイヤルティという観点で店のサービスに対する満足度を10段階で評価します。
スコアが高いほど顧客ロイヤルティが高い状態です。
<NPSのスコア>
9点~10点:推奨者。顧客ロイヤルティが高い。自らリピーターになるだけでなく他人へ積極的に勧めたい高点数
7点~8点:中立者。それなりに満足はしているが、他者へ積極的に勧めるほどではない点数
0点~6点:批判者。ロイヤルティが低く、悪評を広める可能性もある点数
CEMを実行するポイント

CEMを実践するためには以下のステップが効果的です。
- 現状分析をする
- 指標を設定する
- 効果をチェックする
ポイント①:現状分析をする
正しいCEMを行うためには現状分析が必要です。
マーケティング活動の現状を把握することで、どんな対策が必要なのかをチェックできます。
CEMを行うにはデータの活用が重要です。
顧客データを活用してカスタマー・エクスペリエンスに繋げると効果的なCEMを実践できます。
データマーケティングにおけるCEM①:データ統合
CRMツールを使うことで既存顧客のデータ統合ができます。
既存顧客の満足度を高めることでLTVの向上を実現できるでしょう。
また新規顧客を獲得する際に、既存顧客のデータを参考にすると顧客にとって満足度の高いサービスにつながります。
データマーケティングにおけるCEM②:データ活用
データを統合した後はデータを活用してサービス向上に繋げましょう。
優良顧客の属性や嗜好を分析すると新規顧客にとって価値の高いサービスを実現できるでしょう。
データを効率的に活用することはマーケティング業務の効率化にも繋がります。
マーケティング業務の自動化にはデータ活用が必須です。
データマーケティングにおけるCEM③:データと体験を組み合わせる
CEMは最終的にデータと体験を組み合わせます。
「安い!」「便利!」「楽しい!」といったポジティブな体験につなげると、良質なカスタマー・エクスペリエンスを獲得してもらえる仕組みです。
どんなサービスが顧客に喜んでもらえるのかを分析して、CEMを向上させましょう。
ポイント②:指標を設定する
CEMを成功させるためには指標を設定しましょう。
指標を設定する際には定量的なものがおすすめです。
数字で表せる指標をチェックすることでサービスの質を分析できます。
先ほど紹介した「LTV」や「NPS」は、CEMを測る代表的な指標です。
これらの指標を集計するためには顧客アンケートなどをとって満足度を調査します。
<CEMの成否をチェックするための指標>
LTV:顧客生涯価値
NPS:顧客推奨度
ポイント③:効果をチェックする
CEMの効果をチェックすることも重要です。
成果指標をチェックすると、どんなサービスが顧客に喜ばれているのかどうかをチェックできます。
CEMを活用して効果的なブランディングを実践しよう!

CEMは顧客経験を管理するマーケティング手法です。
カスタマー・エクスペリエンスに着目して、顧客のサービスに対する満足度を管理します。
CEMによりファンを獲得したり、LTV(生涯顧客価値)を高められたりするメリットがあります。
CEMを評価するためには、CRMツールなどを用いたデータの活用が重要です。
企業ブランドを醸成する意味でも、CEMは重要な考え方となります。
CEMを活用して効果的なブランディングを実践しましょう!
<まとめ>
・CEMとは顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)を管理するマーケティング手法
・CEMを測るには「カスタマー・エクスペリエンス」と「顧客ロイヤルティ」を重視する
・「CRM」は既存顧客が対象、「CEM」は既存顧客に加えて見込み顧客や一般消費者も対象
・CEMを向上することでファンを増やしてLTV(生涯顧客価値)を高められる
・CEMのデータを活用するには「LTV」や「NPS」という成果指標をチェックする